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微睡みの中で
第6章 気持ち
「からかってるんですか!まだ少年の俺を…」
「少年って…くふふっ。おかしなこというのね!あなたもう立派な『男性』よ。もちろん冗談…じゃ、ないのよね。これが」
冗談というワードを聞いて一瞬ホッとしたのもつかの間。
沙耶香の目は本気だった。
でもどうして?
なんで?
疑問だらけの俺の心を読むように、沙耶香は口を開く。
「食事やデートに誘われて、行ってみたけど…私、その人のこと好きではないし、一緒にいても別に楽しくないのよ。自慢話ばっかりで」
だからって俺と付き合うだなんてそんな…。
俺にだって恋愛感情はないんじゃないのか?
『付き合う』って恋愛感情がないと行けないんじゃないのか?
まずこんな綺麗な女性となんて恐縮だし。
俺がこの大人のお姉さんと対等な人だとは思えない。
きっと沙耶香はその人に断る口実が欲しいだけだ。
「俺は…」
「…いや、分かってる。まあそうよね…」
きっぱり断ろうとしたのに、この人はなんでこうも俺の心を読むんだ…。
脳内に監視カメラでも付けられているのかと不思議に思っていると、思いの外しょんぼりしている沙耶香に気づいた。
いや、流石にこんなガキに振られるのはプライド傷つく…か?