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逃げた花嫁と王の執着愛~後宮秘帖~
第3章 紫陽花の夜に
 彼女は困ったように眉を下げた。



「そんなに一度はお応えできません、殿下」


 笑いながら言う。


「名前は申彩順(シン・チェスン)と申します。父と母は下町で八百屋を営んでおります」


「そうだったのか。チェスン、良い名だ。そなたにふさわしい」



 美少女だった彼女には、ぴったりの名前だ。
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