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密室脱出 ~あなたは脱出できますか?~
第3章 Q 03 「ノートの値段」
(前回の問い)
Q 02 疑問の意味
「南から陽が昇る場所で、その光を全身で浴びろ。左手で鼓動を感じた時、その闇の方角に答えがある。その方角とは?」
拓也がテーブルに置いていた方位磁石を袋に戻そうとして、謎の機械が目に留まる。
「39になってる……」
他の3人も、袋から出してみた。
「オレは、28だ」
「私は、35だよぉ」
「私は30に減ってる……」
「これ、何なんだ?」
奏汰が振ってみるが、数は変わらない。
「万歩計なら、数は減らないよね……?」
美織も、不思議そうに裏を見たりしていた。
「ドラマであるよねぇ。ネット視聴者の、いいね、の数を争って。でもそういうのって大体……」
梨沙が言葉を切ると、奏汰が顔を覗き込む。
「大体って、何なんだよ?」
「ドラマだからさぁ。脱出出来るのは一人だったり? 死人が出たり? ドラマの話だからねっ」
梨沙の話を聞いて、奏汰は固まってしまった。
「それは無いと思う。ここに、君達を殺すつもりはない。見守りたいだけだ。ってあるから」
拓也が手紙を見てから、冷静な口調で言う。
「そうだよ、奏汰。ドラマって言ったじゃん。そんなの、現実にあるわけないよ」
梨沙の言葉に、奏汰が大きく頷く。
「そうだよな。四人一緒に、脱出しようなっ」
奏汰が言うと、三人が笑顔で頷いて見せた。
「ああ、これ。さっきのクッキー」
拓也が、紙で包んだクッキーを渡していきながら考える。
起きたのは六時過ぎだったが、今、壁の時計は七時を差していた。さっきよりはが陽が高めになったから完全に午前のはず。
「カーテンが無いから、眩しいなあ」
奏汰が手をかざしながら、窓の外を見ている。
その影が自分の体に当たるのを見て、拓也が呟く。
「影……?」
「拓也?」
不思議そうに、梨沙が訊く。
「梨沙、もう一度、南向きに立ってくれる? もしかしたら……」
「うんっ」
梨沙は南向きの窓に向かい、右手を広げて左手を胸に付けた。
「梨沙、そのままでいてくれ! 奏汰、美織、こっちに」
梨沙の後ろで壁を指差す拓也に、呼ばれた二人が近付く。
「もしも梨沙が南からの光を浴びているとしたら、曲げた左腕が矢印になって、この棚を差しているんだ」