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密室脱出 ~あなたは脱出できますか?~
第5章 Q 05「いくらなの?」
二人の力が合った瞬間、水槽がチェストから落ちた。
「キャっ!」
女子に人が、水槽が割れる音に声を上げる。
「梨沙、正解だったな。先に鍵取っといて」
「確かに。ここから探したら、怪我をするよ」
奏汰と拓也も見つめてしまう程水槽は粉々で、残っていた水が絨毯に染み込んでいく。
「扉っ!」
梨沙の声に、粉々の水槽を見つめていた三人が壁を見る。
小さな扉に小さなノブ。ノブと言うよりは、つまみと言った方がいいだろう。水槽の裏とは言え、水草が多くて見えなかった。
拓也がそれを開けると、中に小さな鍵がある。
「これを試してみるよ」
入って来たドアが開き、そこから出た四人はホッとしたが、元に戻っただけ。
「奏汰。さっきの鍵は? 南京錠が開くかもしれない」
奏汰はポケットから銀色の鍵を出し、南京錠を開けた。
「何だか、怖い……」
「ん。不気味ぃ……」
鉄格子を開ける金属音に、梨沙と美織は体を強張らせる。
「開くよ、このドア」
先にあったドアには鍵が掛かっていなかった。
入った部屋は近未来な造り。
今までが洋館風だったから、余計にそう思うのかもしれないが、家具は全て銀色の金属製で変わった形。
テーブルや椅子はあるが、今までと違いすぎて何となく落ち着かない。
「あっ、封筒!」
奏汰は、テーブルにあったQのシールが張られた封筒をすぐに開けた。
Q 05 いくらなの?
「姉妹はおかあさんから200円をもらって、近所の駄菓子屋さんに向かった。
途中で会ったおじいちゃんにも、300円もらった。
駄菓子屋さんに着いて200円ずつ買おうとしたら、おかねがたりないと言われた。
その理由を20文字以内で答えろ。
答えはシューターで送れ。正解ならドアが開く。
「二十文字以内って、テストかよっ!」
テーブルに手紙を置いた奏汰が椅子に座ると、三人もそれぞれ座った。
「消費税があったとしても、足りるよね?」
美織の言葉に、拓也が腕を組む。
「シューターってあれでしょ。あれ? 何か入ってるよぉ?」
梨沙がシューターから持って来た透明なカプセルを開けると、二十文字のマスがある紙が出てきた。
「解答用紙ね……」
美織が呟く。
「これは、何か裏があるのかなぁ……?」
梨沙が三人を見回す。
六章へつづく