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密室脱出 ~あなたは脱出できますか?~
第5章  Q 05「いくらなの?」


「水槽は分かっても、どうするの? どかすの? 中に何かあるの?」
「梨沙は、疑問文だらけだなぁ」
「だってしょうがないでしょ? 分かんないんだから。じゃあ、誰か分かるの?」
 梨沙の言葉に、三人は黙ってしまう。
「拓也は謎を解くし、奏汰は行動力がある。美織だって謎を解いたり、一人で残ったり……。私だけ、役に立たないもんね……」
 珍しく自分を責める梨沙の背中を、奏汰が強く叩いた。
「まだ分かんないだろ? この先、梨沙が必要になるかもしれないし」
「そんなの……。私も具合が悪くなれば、優しくしてくれるの?」
 言った梨沙の前に、拓也が立つ。
「それは言っていいことか? 梨沙も、分かっているだろう?」
「ゴメン……。ゴメン、美織」
 梨沙と視線を合わせながら、美織が首を振る。
「色々と、試してみよう? 私だって、何も分かってないから」
「ん……」
「試すと言っても……。そうだ。ホース」
 拓也が袋から1メートル程のホースを出す。
「あっ、サイフォンの原理?」
 梨沙が笑顔に戻る。
「底を探すにも動かすにも、まずは水を抜かないと」
 三人もホースを出し、一度水に着けてから片方を外に出す。
「全部は無理っぽいなあ」
 水槽の下の絨毯はビショビショ。四人の足にも跳ねていたが、気にせずに水槽の水を出していた。
 ホースが短いため、水は半分程しか抜けない。
「底を探ってみる」
 梨沙が自主的にチェストに上り、水槽の底の小石を混ぜるようにした。
「あっ、何かあるっ!」
 梨沙が取り出したのは、銀色の鍵。
「梨沙、お手柄!」
 そう言った奏汰が、梨沙を抱えるようにチェストから降ろす。
「ありがとう。奏汰……」
「違うっ! 開かないっ」
 奏汰がドアに鍵を差し込んで言う。
「ムダ、だったの?」
 沈んだ様子の梨沙に、奏汰は首を振って見せた。
「そんなことないって。必ずどこかの鍵だよ。なぁ、拓也っ」
「僕もそう思うよ」
 その言葉に、梨沙は少し癒される。出られないという状況は変わらないが、少しでも協力出来たのが嬉しかった。
「動かしてみるかあ」
 奏汰が水槽の横に手を掛けると、拓也も一緒に押す。
「微力で悪いな」
「そんなことっ、ねーよっ!!」
 奏汰が力を込める。
 


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