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密室脱出 ~あなたは脱出できますか?~
第8章 Q 08「狼狽える時間はない」
ドアを開けた先は、教室のような部屋。向こう側のドアの前には、奏汰と美織が立っている。
「美織―!」
走り寄った梨沙が、美織に抱き着く。拓也は奏汰とハイタッチをした。
それぞれの話をする間もなく、拓也は大きな机の真ん中にある手紙を手にする。
Qという手紙。
Q 08 狼狽える時間はない
「5教科ある。1人1つ、好きな教科を選べ。残りは壁のポストに入れろ。相談してもいい。」
大きな机には二つずつ向い合せに椅子があり、それぞれ四ヶ所に数本の鉛筆と消しゴムが置かれている。
「ねぇ……。私、この席ってことぉ?」
場違いにも取れる言葉に、三人は梨沙を見た。
「どこだっていいだろ?」
奏汰に言われ、梨沙は首を振る。
「だって。ここだけ、左側に鉛筆とかがあるもん」
この中で左利きなのは梨沙だけ。三人は見慣れていて、もう特に気にしていなかった。
「だってぇ! 知ってるって事でしょ? 犯人は、私だけ左利きって事を……」
確かに他の席は、座った右側に筆記用具が置かれている。
袋にはそれぞれのフルネーム。こうして、一人が左利きだとも知っている。
「もしかしたら……。呼び出されたのか? 僕達は」
四人は、生徒会の会議に誰も来なかったことを思い出す。
「悪かった。そんなことより、今は脱出する事を考えよう」
拓也の言葉で話し合いにはならなかったが、不安もあってか、美織は袋の中から謎の機械を出した。
「112になってる……」
みんなも気になり、それぞれ袋から出す。
「オレは89。みおより少ないなあ」
「僕は105」
「私は109になってるぅ。けど、何なの?」
四人は顔を見合わせるしかない。
「とにかく、Qに従おう。これが、今回の問題だろう?」
机の端には、茶封筒が詰まれている。それぞれに大きく、国語、数学、英語、歴史、科学と印刷されていた。
封筒の裏には、解答後、時間内に問題用紙を伏せろ。とある。
「私、国語がいいー!」
「オレは歴史なら得意かな」
梨沙と奏汰が封筒を取る。
「美織は? 僕は残りでいいよ」
「じゃあ。英語……」
「僕は数学にするよ」
四人が封筒を手にし、残りの化学を壁のポストに入れた。その横には開かないドアがあり、電光掲示板と数字入力で開くロックキー。