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密室脱出 ~あなたは脱出できますか?~
第9章 Q 09「初めての競争」
(前回の問い)
Q 08 狼狽える時間はない
「5教科ある。1人1つ、好きな教科を選べ。残りは壁のポストに入れろ。相談してもいい
国語 漢字の画数を足せ 鬱+驚=
数学 次の計算をしろ 128×12=
英語 次の英文を和訳せよ one hundred and twenty-eight.
歴史 桶狭間の戦いは西暦何年?
「とにかく解こう」
拓也の言葉に、みんな問題に集中した。
三百人程いる学年の中で、拓也は学年トップを争う位置。美織は、いつも五位以内には入っている。奏汰と梨沙だってトップ十に入ったり、悪い時でも二十位以内にいる。いくら問題が簡単でも、四人の集中力は鬼気迫るものを感じるほど。
「出来た。相談していいなら、見せ合おうぜ」
最初に言ったのは奏汰。
「私も出来た……」
「僕も」
「出来たぁー」
梨沙が言った時には、まだ二分近く時間はあった。
「読み上げるから確認しよう。筆記用具を出して。相談してもいい、とあったから」
早口で言いながら、拓也が答案を集める。
「画数。憂鬱の鬱は二十九。驚愕の驚は二十二。足して五十一画。掛け算。128×12は、1536。英語。one hundred and twenty-eightは、128。桶狭間の戦いは、西暦1560年。以上」
みんなで確認し合い、十秒前には戻した答案を伏せた。
「合ってるよなあ?」
「んっ。簡単だったもん」
奏汰と梨沙が話していると、ポストから紙が出て来た。
拓也が拾い上げ、机の中央に載せる。
「全ての答えの数字を足せ。それがパスワードだ。制限時間1分以内に入力しろ」
「一分しかないのぉ!?」
梨沙が声を上げると、拓也は全員の答案を再度集めて計算を始めた。
ドアの電光掲示板の数字も、1:00から減って行く。
美織も横へ行き、メモ帳を使って計算している。
「あと四十秒だよぉ!」
「梨沙! 焦らすな! それより、パスワードの所に行ってろ!」
奏汰に言われ、梨沙はドアへと短い距離を走った。
「合ってるな」
「合ってるよね」
拓也と美織が答え合わせをした後、拓也が声を上げる。
「3、2、7、5!」
「3、2、7、5、ねっ!?」
梨沙が急いでパスワードを入力した。