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密室脱出 ~あなたは脱出できますか?~
第9章 Q 09「初めての競争」
カシャと音がして、鍵が開く。
「開いたっ!」
梨沙が開けたドアを押さえた。三人が出ると梨沙も出て、ゆっくりとドアを閉める。
カシャと音がすると、もうドアは開かない。
梨沙は溜息をついてから、三人に付いて行った。
全てが白く狭い通路だが、天井にはライトが付いている。それだけで全員安心出来た。
少し歩いて角を曲がったが、また同じような通路。
「階段だ!」
通路のずっと先まで奏汰が走り、階段を駆け上がる。三人も、何とかその後を追う。
階段の一番上にあったのはドア。鍵もかかっていなく、奏汰はすぐ中へ入った。
「地上だー!」
部屋の窓の外を見て、奏汰が声を上げる。
相変わらず窓の外は森林と空だが、地下から解放されただけでも、四人は笑顔を見せ合った。
地下での出来事が大変すぎて、それぞれに苦労を思い出す。だが、それを乗り越えて来たお蔭で、達成感と少しの自信も付いていた。
広くて、何も無い部屋。フローリングの床で、あるのは窓と入って来たドアだけ。
「行き止まりなのぉ?」
梨沙が嘆くように言う。
「床に数字があるよ」
拓也が言うと、三人が集まって来る。
「何だろうね。この数字……」
美織は、床にある数字を順に見て行った。
30センチ間隔にある四角い枠に数字が掛かれている。1辺が1.5メートルほどもある四角形が四つあり、それぞれの中に、1から4までの数字。人数と同じなのが、みんな気にかかっている。
「Qの封筒は? 置いてないのぉ?」
「どこにも置かれていない」
梨沙の問いに、拓也は無表情で答えた。
さすがに拓也も疲れている。途中色々と考えて落ち込んだりもしたが、それはもう、自分の中で解決していた。
四人の力を合わせなければ、ここからの脱出は無理。推理が苦手な奏汰と梨沙も、ちゃんとみんなの役に立っている。冷静を装いながら、逆に焦っているのは自分かもしれない。拓也は、その考えを脱出まで封印しておくことに決めた。
「何だよー。数字だけじゃ……」
床に座った奏汰が天を仰ぎ、一度切った言葉を続ける。
「Qだ! 上っ。天上!」
奏汰は、天井を指差しながら立ち上がった。