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密室脱出 ~あなたは脱出できますか?~
第10章 Q 10「脱出までの回数」
(前回の問い)
Q 09 初めての競争
「4人がパン食い競争をした。その順位は?
拓也 僕は一位じゃなかったよ。
奏汰 拓也よりは早かったけど、二位じゃない。
美織 私は四位じゃなかった。
梨沙 美織には負けたけど、奏汰よりは早かったよ。
自分の順位の数字の位置に立て」
「まず梨沙の台詞を見ると、奏汰は梨沙と美織の後。この時点で、奏汰の上には美織と梨沙がいる」
拓也はメモを使いながら説明する。
「上に二人がいる奏汰は、三位か四位。そして奏汰は、僕より上だと言っている。これで、四位が僕、拓也。三位が奏汰になる。ここまでは分かった?」
奏汰と梨沙は、納得して頷きながら聞いていた。元々頭の切れる二人。順序良く説明されれば、飲み込みは早い。
「この先、奏汰、分かる?」
拓也に訊かれて頷いた奏汰が、口を開く。
「梨沙はみおに負けたって言ってるから、みおが一位。梨沙が二位で決定」
拓也と梨沙が拍手している。美織も釣られて拍手したが、勿論美織にも分かっていた。
「まずは、きっかけを見つけることかあ……」
奏汰にもコツが分かって来たよう。
「一番に美織。二番に梨沙。三番に奏汰が乗って。僕が四番に乗るから」
拓也に言われ、それぞれが動き出す。
「乗ったら、何が起こるんだろう……」
一番の前に立った美織が、番号を見つめて溜息をつく。梨沙も同じように、躊躇っていた。
「みおっ、梨沙っ。早く乗れよ」
すでに数字の上に乗った奏汰が声を掛ける。拓也ももう乗っていた。
梨沙と美織が目を合わせて頷き、二人ともそっと数字の上に乗る。
「何にも、起きないねぇ?」
梨沙が言った瞬間、数字のマスが下に開く。
女子二人は「キャー!」とスカートを押さえながら。拓也と奏汰も声を上げながら下へ落ちた。
一瞬で四人が落ちたのは、ウレタンマットの上。
一人ずつが鉄格子に入っていて、その広さは上の四角より広い。隣同士はくっついていて、同じ格子。