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密室脱出 ~あなたは脱出できますか?~
第10章  Q 10「脱出までの回数」


「なんでオリなんだよおー。不正解だったのかあ?」
「ううん。合ってたんだよぉ。ホラぁ……」
 梨沙のオリの前方に貼られていたのは、Qの封筒。それを開けて中を読む。


Q 10 脱出までの回数
「4人が脱出するまでに何手かったか、前のドアに入力しろ。
但し、以下とする。

※最小回数で全員出ろ。
※隣の者に鍵を一度渡すたび一手と数える。必ず手渡しで、隣にしか渡せない。
※今鍵を手にしている者が、最初に鍵を開けてはならない。
※受け取った相手に戻してはならない。
※答えは二手以上とする。」


 それぞれのオリの前方にはドアがあり、鉄格子の間に南京錠が掛かっている。
「カギも、入ってるよぉ……」
 梨沙が学校の備品室でも使うような、南京錠の小さなカギを封筒から出す。
「えっとぉ……。美織っ、はいっ」
「えっ……」
 梨沙が鍵を入れた封筒ごと右側の美織に渡そうとする。
「梨沙、落ち着いて? 別に、爆発するものじゃないんだから……」
「あーあ。また地下かあ。でも梨沙、脱出って書いてあるんだろう? これで終わりなのか?」
「脱出……」
 梨沙はそう言っただけで黙ってしまう。
「本当の脱出にしては、こんなに単純じゃないだろう。また、地下に落とされたし」
 拓也の言葉に、奏汰は諦めたように寝転がる。だがその視線は、考え込む拓也の表情にあった。
「梨沙、鍵は一つなんだね? それじゃあ、封筒と手紙だけくれる? それは大丈夫なはずだから」
 拓也に言われ、梨沙はゆっくりと問題を読み返す。
「うん。カギを一度渡すたび一手ってあるからぁ……」
「じゃあ鍵は、まず梨沙がしっかり持っていて」
「うん……」
 そう言った梨沙は、左隅にいる和哉に、奏汰を介して渡してもらう。
 その間も、梨沙は右手でしっかりと鍵を握っていた。
 問題を読み終えた拓也が、「うーん……」というと、梨沙と奏汰が心配そうに見る。
「拓也にも、分かんないのぉ?」
「分かんないのかよお」
「いや。最後が、気になって」
 二人とも、首を傾げる。


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