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密室脱出 ~あなたは脱出できますか?~
第13章 Q 13「最後のQ」
「ほら、これでしょう?」
母親がコルクボードに留めたプリントを拓也に渡す。
そこには、生徒会全体合宿の内容が書かれていた。
「拓也? どうしたの? 朝食は?」
母親の問いには答えず、拓也は階段を駆け上がって部屋に戻ると、すぐ奏汰に電話をする。
「ああ。分かった。すぐに行くよ。あっ、あの袋を持って来るように伝えてくれ」
通話を切った拓也はあの袋を別の鞄に入れ、急いで家を出た。
四人は、学校近くのファミレスに集まる。ここはたまに利用する店で、他の生徒会のメンバーもよく来る。
「目が覚めた時、夢かと思ったぁ」
溜息をつく梨沙の隣で、美織が頷く。
「何だったんだよ、あれはー」
奏汰が隣の拓也を見る。
「手紙もメモ帳も、全部僕の袋に入っているよ」
メモ帳は勿論だが、拓也は毎回Qの封筒に戻した手紙を袋に入れていた。Tのものも同じように。
「あっ、何か、落ちましたよ……」
テーブルの横を通った男性が何か落し、美織が声をかけたがそのまま行ってしまう。
「黒いスーツじゃん。何か、あいつらを思い出すな」
奏汰の言葉と同時に落とし物を拾い上げ、美織はそのまま動かない。
「どうしたんだ、美織」
「これ……」
美織がテーブルに置いたのは、Qのシールが貼られた封筒。
「またQっ!」
梨沙が声を上げる。
「クッソー。あいつかあ、犯人は」
追いかけようとする奏汰を、拓也が止めた。
「確かにこれ……。この12番目に書いてある」
拓也はQ12の手紙を出し、みんなに見せる。
「正解なら脱出成功だが、これが最後のQではない。じゃあ、これが最後なのか?」
大声を出す奏汰を制して、拓也がテーブルの上の封筒を開く。
お疲れ様。
「Qの後の最初の文字を平仮名にして順番に読め。
答えは終業式の時に聞こう。」
「何で終業式なの?」
梨沙が言うが、拓也全ての手紙を見てから、何か考えている様子。
「ん……。何となく、分かったよ」
「えー?」と三人が拓也を見つめる。
「みんな、あの謎の機械を出して、数字を教えてくれ。僕は、686」
拓也は一緒に出したメモ張に書き込んでいく。
「オレは、678」
「私は、641だよ」
「私は、692になってる……」
三人は、ジッと拓也を見つめていた。
十四章へつづく