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あなたからは逃げられない
第1章 あなたとの出会い



「無視かよっ!」と心の中でツッコミをいれ私はまた霧島さんに話をする。


「あの…こんな所じゃなくてほかの所へ行かれたらいいと思いますけど?」

「なんで?」

「だって霧島貿易の社長さんが高架下の焼き鳥屋ってなんかアンバランスじゃないですか?」



大将に聴こえないように小さな声で話したのにこの男は私の努力を踏みにじる。


「別にここでもいいだろう。
俺はこういう店好きだけどなぁ。

社長だからここはダメって誰が決めた?!」


霧島さんの声で大将は、兄ちゃん社長さんなのかい?と興味を示す。

すると霧島さんは私に何してると聞いたあの表情とは全く正反対の笑顔でまるで違う顔を持つ二重人格のように話す。

「えぇ、一応ね。
大将、つくねのタレとモモの塩を1本ずつ。」


大将ははいよー!と言いながら背を向けて焼き鳥を焼き始めた。

そして霧島さんは私に何か食うかと聞いてくる。
本当ならまだ食べたいけれどこの無駄にイケメンの男が隣に居るから食べる気がなくなってしまった。

「いえもう大丈夫です。」

残っているビールを飲んだら帰ろう。
そう考えながらビールを飲み干し大将に会計を頼むとまた隣から声がした。


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