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あなたからは逃げられない
第1章 あなたとの出会い



短大の卒業まであと半年となった九月


住んでいるアパートから駅まではいつも歩いて向かうのだけれど、その日は寝坊してしまって滅多に使わない折りたたみ自転車に乗り急いで駅へと向かっていた。



「あー!!もぅ!遅刻しちゃう!」

焦っていて四つ角で事故が多いことを忘れてしまっていた私は何も考えずに飛び出してしまった。

時すでに遅しって感じがピッタリ。
出合い頭に右側から来ている黒塗りのベンツにぶつかってしまいそのままぶっ飛んだ。


「いっ、たぁ...」


そこまでは覚えているけどそこからの記憶はなく、目が覚めると真っ白の天井を眺めていた。


隣には私の点滴を変えている看護師さんが居て『目が覚めたみたいね、先生呼んでくるわ。』と病室からいなくなってしまった。

やっぱりここ病院なんだ...
あれ?遅刻しそうになって…
自転車で…黒塗りのベンツ…



「げっ!どうしよう。
修理代ぼったくられちゃったりして…」


私の心配をよそに白衣を着た先生がやって来て色々質問された。

名前や住所、短大の名前や事故のこと…


思い出せないのはぶつかった後からここまでの記憶だけだった。


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