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あなたからは逃げられない
第1章 あなたとの出会い



『記憶はあるみたいだし念のために泊まって明日帰っていいからね。』


先生はそれだけ言うと部屋から出ていってしまった。
それにしてもこの部屋広いし個室だし何か病院と言うよりホテルみたいだ。


「あの…ここの入院費用ってどれくらいかかりますか?」

こんなことを聞く人間はいないだろう。
でも記憶がないのをいいことにこんな部屋にいると高い費用をとられてしまう。


それなら大部屋で我慢した方がいい。
ドキドキしながら待っていると看護師さんが笑いながらこう言った。


『ここはもう霧島様が既に払われています。

小鳥遊さんに払ってもらう費用はありませんよ?』


「霧島様…?」

『小鳥遊さんが事故した相手のお車の方です。
霧島貿易の社長さんですよ。』


霧島…貿易…の社長...?
霧島…なんかどこかで聞いたことがある。


私は気になってスマホで調べた。

霧島貿易
検索ボタンを押すのがここまで緊張するなんて思ってもいなかったが出てきた結果を見て、やっぱり...と肩を落としてしまった。


霧島貿易

小鳥遊グループのひとつで日本でも有名な貿易会社


私はもう立ち直れない。
嫌でも父や母に連絡がいってしまうことを恐れた。



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