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あなたからは逃げられない
第3章 それは私のすること


トイレに行き手を洗ってから寝室に戻るとさっき私が抜け出した時と同じ体制の龍輝さんがいる。

起こさないようにベッドに入り、離れたところから見ると整った顔だと思う。
鼻は高くて長いまつげ、髭もなく清潔感がありセットしていない髪は猫のように柔らかい。


「こんな人と私って...いいのかな。」

龍輝さんは父に言いそうにないけれど…
もし彼と付き合っていることが父にバレたら彼はどうなるのだろう。もしかしてそのせいで職を失ったり…
なんて考えているとかなり時間が経ってしまっていることが分かる。


少し寝ないと...

私は龍輝さんの整った顔を最後に拝んで目を閉じた。


しばらくすると小さなアラーム音がなる。
それは龍輝さんのスマホのアラームで、小さな音がなるとベッドから降りて部屋着を脱ぎジャージに着替えている。

バレないように薄目を開けて見届けようとしているとギシッとベッドに体重をかけた音がした。
そして私のおでこにキスを落としたあと龍輝さんは小さな声でこう言った。


「やっと手に入れられた。大事にするから…愛してる。」

愛してるなんて言われたことがない。
そんな免疫のない私はその言葉に固まってしまった。



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