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若様の性長日記!
第1章 大学を卒業した後
会社の地下駐車場に車を止め、特設エレベーターで最上階に上がる。

外から見たこの会社は、何かこう…でかかった。

高層ビルが建ち並ぶ街中にあって、かなり立派な建物だ。

今日からここで働くと思うと、緊張してきた。

何せオレは親父が何の仕事をしているか、詳しくは知らない。

人材派遣をしているのだと、言われ続けた。

不況の世の中でも、ウチの経済状況は変わらなかったのだから、儲かってはいるのだろう。

ウチの経済レベルはかなり高い。

オレが私立の幼稚園から大学まで行けるぐらいだ。

海外旅行もしょっちゅう行ってたし、ブランド物も家の中にゴロゴロある。

両親には一人息子兼跡継ぎとして、これ以上ないぐらい愛情を注がれた。

もちろん、親父の下で働く社員達にもだ。

オレも期待に応えるべく、勉強にスポーツに人間関係に頑張ってきた。

将来は一つの会社を継ぐんだ。

そこに働く人間、全ての人生を握ることになる。

ハンパな気持ちはいけないと、両親が呆れるぐらい真面目に生きてきた。

それが今、報われる。

これまでの苦労も、大切に思えた。

…今、この瞬間までは。

やがてエレベータの動きが止まった。

「こちらです。若様」

「あっああ」

フロアに出ると、目の前に大きな木の扉がある。

梢さんはゆっくりとノックする。

「社長、若様をお連れしました」

「ああ、入れ」

聞きなれた親父の声だが、今日は何故か緊張させれる。

背筋を伸ばすと、梢さんがドアノブを押し、扉を開けてくれた。

オレは固唾を飲み込み、中に入った。

「失礼します。しゃっ…」

「待ってたよー!」

がしっ!

「ぐわっ!」

畏まって挨拶をしようとしたが、いきなり親父に抱き付かれた!

「うっとおしいわっ! クソ親父!」

なのでつい、いつもの調子で親父を床に叩き付け、背中を踏んでしまった。

「ぐえっ!?」

「…若様、お気持ちはよく分かりますが、ここは会社ですので」

「あっああ、すまない」

梢さんの苦笑を見て、オレは足を外した。

「あいたた…。相変わらず元気だね」

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