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僕の美しいひと
第5章 新たなる扉
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夜半過ぎ…院長室での執務の手を止め、郁未はぼんやりと想いに耽る。
「…僕が清良を好き…か…」
…そうかもしれない…。
それは、自分でも驚くほどに腑に落ちる感情であった。
最近は他ならぬ鬼塚のことを考えても、胸が痛まない。
鬼塚が美鈴のことを話しても、切ない想いに囚われることはない。
むしろ、二人の仲睦まじさを微笑ましく思える。
…鬼塚くんと美鈴さんは、お似合いの夫婦だ…。
そんな風に穏やかに見ていられるのは…やはり清良の存在が大きいのかもしれない。
そして…気がつくと、清良のことを考えている。
清良といると、楽しい。
清良のお転婆で跳ねっ返りな性格も、本当は愛おしくて仕方がない。
清良の美しく煌めくような美貌を、いつからかそっと眩しげに見つめる自分に気が付いた…。
清良のその美しくも生き生きとした表情を、いつまでも見ていたい。
そばで見ていたい。
誰よりもそばで…。
…これが恋なのだろうか…。
切ない初恋に破れ、初めて身体を契った相手は夢のように去り…郁未には恋の経験がない。
だから、この感情をどうして良いか分からないのだ。
何度目かのため息を吐く。
…恋かも知れない…。
…けれど…。
夜の闇を背景に窓に映り込む自分を見つめる。
…清良は、新しい人生を生きるべきだ…。
あの稀有に美しく煌々しく生き生きとした娘は、本来の華やかな場所で輝き…選ばれた人々に囲まれ…
そうして、彼女に相応しい何もかも兼ね備えた完璧な相手と結ばれるべきなのだ。
…もし、自分と結ばれたら…。
郁未の貌が苦しげに歪む。
…過去の経歴を詮索され、傷つかなくて良いことで傷つくかも知れない…。
郁未は誰知らず首を振った。
…今まで苦労した分だけ、清良には理想的な場所で幸せに暮らして欲しい。
…それが自分に出来る最大の愛の行為だ…。
清良への想いを一掃させるように郁未は机上のランプを消した。
…辺りは一瞬にして闇に覆われた。
「…僕が清良を好き…か…」
…そうかもしれない…。
それは、自分でも驚くほどに腑に落ちる感情であった。
最近は他ならぬ鬼塚のことを考えても、胸が痛まない。
鬼塚が美鈴のことを話しても、切ない想いに囚われることはない。
むしろ、二人の仲睦まじさを微笑ましく思える。
…鬼塚くんと美鈴さんは、お似合いの夫婦だ…。
そんな風に穏やかに見ていられるのは…やはり清良の存在が大きいのかもしれない。
そして…気がつくと、清良のことを考えている。
清良といると、楽しい。
清良のお転婆で跳ねっ返りな性格も、本当は愛おしくて仕方がない。
清良の美しく煌めくような美貌を、いつからかそっと眩しげに見つめる自分に気が付いた…。
清良のその美しくも生き生きとした表情を、いつまでも見ていたい。
そばで見ていたい。
誰よりもそばで…。
…これが恋なのだろうか…。
切ない初恋に破れ、初めて身体を契った相手は夢のように去り…郁未には恋の経験がない。
だから、この感情をどうして良いか分からないのだ。
何度目かのため息を吐く。
…恋かも知れない…。
…けれど…。
夜の闇を背景に窓に映り込む自分を見つめる。
…清良は、新しい人生を生きるべきだ…。
あの稀有に美しく煌々しく生き生きとした娘は、本来の華やかな場所で輝き…選ばれた人々に囲まれ…
そうして、彼女に相応しい何もかも兼ね備えた完璧な相手と結ばれるべきなのだ。
…もし、自分と結ばれたら…。
郁未の貌が苦しげに歪む。
…過去の経歴を詮索され、傷つかなくて良いことで傷つくかも知れない…。
郁未は誰知らず首を振った。
…今まで苦労した分だけ、清良には理想的な場所で幸せに暮らして欲しい。
…それが自分に出来る最大の愛の行為だ…。
清良への想いを一掃させるように郁未は机上のランプを消した。
…辺りは一瞬にして闇に覆われた。
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