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第3章 嫉妬

「あなた、宜しくお願いしますね」

恵理子はよそ行きの服を着て出かけていった。

それから間もなく、玄関のチャイム画鳴った。

「こんばんは」

「いらっしゃい。急に悪いね」

私の母親だった。

急な仕事が入ったからと、愛莉の面倒を見てもらうように頼んでおいたのだ。

「お婆ちゃん、いらっしゃい」

娘が喜んでお婆ちゃんに抱き着いた。

「愛莉ちゃん、久しぶり！」

たまにはお婆ちゃんと一緒に過ごすのも娘にとっては嬉しい時間だろう。

「じゃ、行ってくる」

私は上着を手にして出かけたのだった。




恵理子の行き先は聞いておいた。

恵理子も素直に会場となるホテルの名前を教えた。

『ホテル・プリサージュ』だった。

スマホで所在地を調べ、タクシーに乗り込んだ。

果たして、恵理子は会場に現れるのか・・？

胸がドキドキしていた。

タクシーは順調に目的地へ着き、私はさっそくホテルへ足を踏み入れた。

ロビーに『歓迎！大平女子大同窓会様』の帯が貼られていた。

ここまでは順調だった。

恵理子は嘘は着いていない。

間違いなく、ここで同窓会は開かれるようだった。

時間を見ると、開始時刻までまだ45分あったが、まだ恵理子は来ていないらしい。

私は物陰に身を隠し、恵理子が来るのを待った。

それから20分程して、恵理子が現れた。

（来た・・！本当だった！）

私は恵理子を疑った自分を恥じた。

だが、同窓会が終わった後、恵理子がどうするかが、また心配だった。

もし二次会があったからと言い訳しながら、この後、佐伯と会ったりしたら・・

そう考えると、帰るに帰れなかった。



だが、そんな私の心配は杞憂に終わった。

恵理子は同窓会が終わった後、まっすぐ自宅に戻ったのだった。