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魚の骨
第1章 契り
あぁ、また私の思いが冷たい水に変わる。
彼に触れられなかった一滴一滴が集まって
海に変わっていく。

早く止めてほしい。
早く塞いでください、その物で。また溺れてしまう。
ずっとうまく泳げない私は、最後には助けを願ってしまう。彼に助けられたい。愛する彼に助けられてハッピーエンドを愚かなくらい望んでしまう。


「もう…挿れてほしい…」と上目遣いで臨むと
「なんで?」と聞かれた。


なんで…英語で言うとbecauseから始まって答えるんだろうか。becauseはbe causeが合体して出来た単語なんだろうな。原因になれって日本語では訳するんだろうか。

じゃあ、原因はなんだろう。
彼の物を私の中に挿れてほしい原因。

理由を考えながら彼の胸にしがみついて怯えた子供が喚いてるように、まるで彼に守られてるかのような体制になった。私が喚いたような声を出してるのは彼のせいなのに。


「ねぇ、なんで挿れてほしいの?」「ねぇなんで?」
と言いながら彼は手を止めない。

私の思いが冷たくなるから。止めてほしいから。
1つになりたいから。1つになることで世間に愛があったと証明出来るなら1つになりたいから。本能だから。
恋してるから。彼にもっと幸福を召し上がってほしいから。愛してるから。好きで好きで仕方がないから。

色んな理由を思いつくたび、どの理由も違う気がして
自分の見栄なのかもしれないとさえ思った。
本当に愛してるのかさえ分からないのに軽々しく愛してるからとは言えない。

ある日突然名前を見ただけで、身体の奥からじんわり甘い気持ちなれたのはきっと恋なんだと思う。
間違った恋だとか、正しい恋だとか人生で一番だとかタイミングだとか、どうでもいいくらい中毒のように私は彼にずっと依存している。


月に一度しか会えないのに、数えるほどしか連絡を取らない日もあるのに、私は彼にずっと依存している。
生きてるだけで、どこかで幸せそうに笑ってるだけでそれで良いと一日中願うほど依存している。



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