この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
MILK&honey
第5章 名前、呼んだら駄目?

「るりちゃん……」

 高校の時、巧のお母さんが亡くなったと聞いた憶えが有る。
 ということは、るりちゃんもお母さんを亡くしているという事だ。しかも、小学生くらいの時に。

「……うー……」

 るりちゃんが小さく呻いた。
 
 るりちゃんは二人兄妹だと、るりちゃんに会った後に巧に聞いた。巧が家を出ているんだから、今は、るりちゃんと、お父さんと、義理の母親の三人暮らしなんだろう。義理の母親は、かなり強烈な人らしい。制服を汚してしまったるりちゃんが、帰りたくなくても、不思議じゃ無い。

 その制服のブラウスに、飛び散った卵も。
 学校でつけられたんだとしたら、学校でだって気を抜けない状況なのかもしれない。姫ちゃんは、友達みたいだけど……もしかしたら、今はクラスが違うとか?

 家でも、学校でも、つらいって言えなかったのかもしれねーな。

「……よしよし。」
「……うっ……」

 我慢してたらしいのがいじらしくて、近寄って頭を撫でてみたら、嫌がられなかった。
 頭を撫でついでに抱き寄せて、顔を肩の上に伏せさせる。こういう時、背が高かったら胸に抱いたり出来んだろーね。

「……大丈夫だから、いっぱい泣きな」
「……うっ……うー……」

 震える肩を、ゆっくりとんとん叩く。
 るりちゃんが、俺に素直に体を預けて、泣いている。
 ……もしかして、チャンス?
 いやいや。
 こんな時に付け込むなんて、駄目だろ。
 ……駄目なんだけど、付け込みたい。そうでもしなけりゃ、るりちゃんと仲良くなれる日なんて来ない。

「……るりちゃん?」
「……ひかる……さん……」

 しばらく迷って、名前を呼んだら、るりちゃんは顔を上げた。
 目が潤んで、きらきらしている。
 ……可愛い。いつも可愛いけど、すんげー可愛い。
 見てたら、またぽろっと涙がほっぺに溢れたから、親指で拭ってやる。ほっぺたがりんごみたいに赤くて、熱い。
 ……キスしたい。

 さくらんぼ色の唇に、涙を拭った親指で触れると、物言いたげに緩やかに開かれて、吐息が漏れた。

/325ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ