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遅すぎる初恋
第9章 自覚
ヤバい。そんな繋ぎ方されたら、ドキドキしてしまう。
指と指の間を少し動くだけでも、変な気分になる。

「和哉さんって……感度いいよね」

俺の反応を楽しんでるかのように言う。
感度って……感じやすいってことか!?

「それともさ、もしかして、オレだから……とか?」

赤信号で停まり、握る手に力を込めた紫音がこちらを向く。
暗闇でもわかるくらい、綺麗な青色がジッと見つめる。

「……わかんね。でも紫音じゃなきゃ嫌だった」

そう言うと、紫音は何も言わず、繋いでた手をパッと離し、右へ曲がる。
どこかの駐車場らしきところに到着し、車を停めるとシートベルトを外した紫音がゆっくりと俺を見る。

「和哉さんに返事もらってないのにオレがこんなこと言うべきじゃないのはわかってる。けど、やっぱり嫌なもんは嫌なんだ。オレじゃなきゃって……どういう意味?」

「あ、えと……それ、は」

紫音は恋人なんかじゃない。
友達というか同僚。
他の男に告白されたって一言言えばいいだけ。
それだけなのに、紫音からの視線が怒ってるように思え、何も言えなくなる。

紫音の方を見れずにいると、目の前が今まで以上に暗くなり、急にガクン、と後ろへ倒れ込んだ。
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