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お良の性春
第6章 大江戸炎情 乱交の喜び
 「じつは、近頃お座敷でも似たようなお遊びが流行っています」
 「どんな?」
 「小耳に挟んだ話ですがね、芸者とジャンケンをして、負けた者が着物を脱ぐ。そんなお座敷遊びだそうです」
 「ほほー、面白そうだ」

 俄然、龍之介が乗り気になる。

 「この際だ、四人でそのジャンケン遊びでもどうですか、清兵衛さん」
 「わたしはかまいませんが、しかし、女性陣がうんと言うかどうか」
 
 答えた清兵衛も大分酩酊気味。

 「あなたがどうしてもとお望みなら・・・、いいわよ、わたし。お良ちゃんどう?」
 お雪が恥らいながらお良の顔を見た。
 「何を馬鹿なことを。そんなことできるわけがないわ」 
 お雪の言葉にお良は言葉を失った。
 「お良ちゃん、チョッと」

 お雪はお良の袂を引くと部屋の隅に連れて行ってなにやらヒソヒソ。

 「お雪ちゃん、結婚して随分の変りようね。驚いたわ」
 「あの頃と比べないで。わたし、猫を被っていただけ。結構あの頃から、男には興味あったのよ」
 「そうだったの。信じられない」 
 「それに、お良ちゃんは商家の娘だから、知らないでしょうけど、武士の嫁は夫の指示に逆らえないのよ」
 「あら、『従うべし拒むべからず』でしょう。わたしも、一度は武家に嫁いだ身。それぐらいの教えは受けたわ」
 「だったら、どうして出来ないなんて言うの?」
 「その前に、商家も武家もなく、妻には操を守る勤めがあるはずよ」 
 お良の鋭い指摘に、お雪も頷く。
 
「酔っぱらって肝心なことを忘れていたワ。のちのち問題にならないよう念押が必要ね」

 言うが早いか、お雪は夫の前に正座。

 「龍之介様、あなたお一人の前なら、わたくし、裸になって逆立ちでも何でも致します。でも、ここには清兵衛様が。清兵衛様の前で、もしもわたしが肌身を晒すようになったら・・・。そのような淫らな振るまいは致しかねます。お言葉に従うべきか、操を守るべきか、ご主人様のご判断を」

 「そのようなことを心配することはない。お前一人が裸になるのではない。お良殿も裸になればお相子。のう清兵衛殿」

 「御意」
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