この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
お良の性春
第2章    春風乱舞 恋のつむじ風
 父の言葉に喜んだものの、源一郎はいささか気持が重かった。あの日のことを考えると、お良殿に合わせる顔がない。

 源一郎は薬問屋の店前に立った。しかし、どうにも足がすくんで前に進めない。
 伊兵衛殿の顔が浮かぶ。
 父も一目置く伊兵衛は、豊富な知識、明晰な頭脳、先を見通す洞察力、どれをとっても、そんじょそこらの侍の比ではなかった。

 (あの罰ゲームの一件が伊兵衛殿の耳にでも入っていたら)

 お良への想いが強くなればなるほど、源一郎の心に臆病風が吹いた。
 思案に暮れる源一郎に神が救いの手を差し伸べる。
 見れば、寺の片隅に座っているのはお良にお節。
 好機到来。天の恵みか、神様の計らいか。意を決した源一郎は二人に近づく。

 「お良さん」

 その声に振り返った二人。
 お良の顔が見る見る赤くなる。
 黙って会釈を返すお良。
 そのお良の顔をじっと見つめて棒立ちの源一郎。

 初夏を思わせるような強い西日を受けて、二人のうなじに汗が滴る。

 「お良さん」源一郎はもう一度、お良の名を呼んだ。

 「わたしの嫁になってはくれぬか」

 思わずお節はお良の手を握りしめた。

 お良はやっとの思いで「はい」と答えたかと思うと、お節の手を振り払って駆け出す。
 お良は恥ずかしかった。

 「お節ちゃんの前でプロポーズするなんて、源一郎様のばかばかばか」

 もし二人だけだったらなら、源一郎様の胸に飛び込んだのに・・・・。
/119ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ