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第5章 　波乱万丈　若後家　恋の旅立ち

　お良が実家に戻ったことを知った若い藩士たちの間に、お良を巡る争奪戦が勃発していた。
　あの歌留多会でのお良の天女のごときフルヌードのエピソードも・・・。
　新婚寝屋の「覗き見」の生々しい報告も・・・。
　「お前だけ、口外するな」と条件付で広まった噂は、いつしか知らぬ者のいない有様。
　伊兵衛の下にはあちらこちらの手づる伝い、つてを求め、「お良を嫁に」と何人もの藩士から求婚の申し出。
　命日の墓参の折、早川家を訪れた伊兵衛親子に仙太郎まで結婚話を持ち出す始末。

　一方お良は、離縁して家に帰ると店先に立った。
　父の手助けをしながら薬問屋の商いを一から学んだのである。
　商いに夢中になることで、お良は源一郎のいない寂しさを忘れようとしたのだ。

　「去るものは日々に疎し」

　月日とともに、次第に源一郎の面影も、別れの悲しみもまた薄れていった。
　だが、源一郎との夜毎の情交の思い出、体に刻まれた夜の営みの記憶だけは消えるどころか、時に鮮明に蘇ってお良を悩ませた。
　お良は、そっと寝間着の裾を割って、股間に指を滑らせ、一人寝の寂しさを手淫によって慰めるのであった。