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ハデな彼に、躾けられた、地味な僕【BL】
第1章 彼と僕 /関係性
そろ~っと廊下に顔を出す。

「あはは、ヤダなぁ」

…彼は女の子五人に囲まれ、楽しそうに話をしている。

よし、今なら大丈夫そうだ。

僕はカバンを抱え込み、そっと教室を出た。

気配を消し、息を詰めて、静かに足音を立てずに廊下を歩く。

「一人で帰るなんてつれないなぁ。せっかく待ってたのに」

「ひっ!」

しかし十歩も歩かないうちに、彼に気付かれてしまった。

僕はゆっくりと振り返り、彼を見る。

「いっいや、そのっ、かっ彼女達と楽しそうに話をしているから…」

「うん、だって遅いんだもん。待ちくたびれちゃったよ」

彼は肩を竦め、女の子達に微笑みかけた。

「じゃあ待ち人来たから、オレは帰るね」

途端に女の子達は不満そうな声を上げる。

「またおしゃべりしようね。バイバイ」

しかし彼はスッパリ切り捨て、僕の元へ来た。

「遅かったね、掃除当番」

「うっうん。ちょっとふざけている男子がいて、遅く…」

ハッ! 言ってはいけないことを口にしてしまった。

慌てて口を押さえるも、彼はニッコリ微笑んだ。

「…へぇ? 誰、そのふざけたヤツ?」

僕は口を押さえながら、首を左右に振った。

「言えよ。そいつのせいで、遅くなったんだろう?」

口を塞ぐ手を、無理やりはがされた。

僕は震える声で、その人物の名を告げた。

「ふぅん…。随分調子に乗ってるな」

すると彼の眼が鋭く光る。

「いやっ、でも、少しの間だったし…。女子に注意されて、すぐに止めたし…。そっそれにホラ、今日は週末だろう? だからちょっと浮かれていたんじゃ…」
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