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フリマアプリの恋人
第1章 prologue
暫く三人は和やかに会話を楽しんだ。
瑠璃子は、饒舌にお喋りをした。
隣室に入院している仲良しの友だちのこと、ナースのこと、ドクターのこと…。
ややはしゃぎすぎかとも思うが、その陽気な様子は柊司を安心させた。

ドリンクを飲み終える頃、瑠璃子が不意に由貴子にねだった。
「ママ、売店でお煎餅買って来て。
あの海苔が付いた草加煎餅。すっごく美味しいんだよ。
柊司ちゃんに食べさせたいの」
相変わらずの我儘ぶりに柊司は呆れながら、窘める。
「瑠璃子、お母様にお使いさせるんじゃない。
それなら僕が行くよ」
瑠璃子が慌てたように止める。
「だめ!だって、柊ちゃんに食べさせたいんだもん!」
「それなら自分で行ったらいいんじゃないか?」
「やだ!柊ちゃんと一緒にいたいんだもん!」
柊司の腕をぎゅっと抱き締める。

由貴子が可笑しそうに笑い出し、快活に席を立った。
「はいはい。ママが行ってきますよ。
…ママはどうやらお邪魔みたいね」
目配せしながらドアを開ける。
「…森先生にもご挨拶してくるわ。
柊司さん、ごゆっくりしてらしてね」
「母様…」
言いかける柊司に被せて、送り出す。
「ママ、大好き!いってらっしゃい!」
「調子が良いんだから…」
苦笑いしながら柊司に目礼し、由貴子は病室を出た。

小さくため息を吐き、瑠璃子を睨む真似をする。
「ちょっと我儘すぎないか?
お母様は毎日来てくれているんだろう?
もう少し労ってあげないと…」
瑠璃子は紅い舌をぺろりと出して屈託なく笑った。
「…ママは私が我儘を言った方が安心するんだよ…」

…愛らしい横顔にふと淋しげな色が挿す。
「…瑠璃子…」
…この子なりに、母親に気を遣っているのだろうか…。
愛おしみの気持ちがじわりと溢れてくる。

柊司の感情を察したかのように瑠璃子はさっと表情を変え、悪戯めいた眼をして声を潜めた。

「…それよりもさ、柊ちゃんにお願いがあるの。
ママに内緒のお願い…」







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