この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
フリマアプリの恋人
第1章 prologue
「何だよ、お母様に内緒…て。穏やかじゃないな」
やや構える柊司に、軽く手を振る。
「そんなマジなことじゃないよ。
ねえ、柊ちゃん。スマホ出して」
「スマホ?何で?」
「いいから、早く!ママが帰ってきちゃう」
急かされるままに、柊司はジャケットの胸ポケットからスマートフォンを取り出した。
「お願いがあるんだけどさ。
…メリーマーケットて言うアプリ、ダウンロードしてくれない?
メリマ、知ってる?」
「メリマ?…ああ、ネットでやり取りするフリマアプリだね」

最近、社会現象になるほど人気があるフリーマーケットのアプリだ。
テレビなどで盛んにCMが流れるし、柊司が教える大学の学生たちも日常的に気軽に利用しているようだ。
…もちろん、柊司はそのアプリを利用したことはない。
ネット上のフリーマーケットなど、興味もなかったからだ。

「…でも何でそれを僕が?」
「メリマで買いたいものがあるの。
…でも私、スマホ持たせてもらえないから…」
由貴子譲りの黒く濃い睫毛を伏せて答える。
…ああ…と、思わず声を飲み込んだ。

…あの事件から、由貴子は瑠璃子がスマートフォンを持つことを禁じた。
瑠璃子もそれに反抗したことはなかった。
自分がしでかしたことを悔いているし…ネットを見ることに恐怖を感じていたからだ。
だから、瑠璃子は若い娘にしては恐らく稀なほどにネット社会から隔離された生活をしているのだ。

柊司は慎重に尋ねた。
「…欲しいもの…て?」
瑠璃子の瞳が輝いた。
「ハンドメイドのイヤリング!とっても人気のある作家さんのアクセサリーページがあるの。
それがすっごく可愛いの!」
「…へえ…。不用品だけじゃなく、ハンドメイドの商品もあるんだ」

…でも…と、更に質問する。
「どうして知っているんだ?」
スマートフォンを持っていない瑠璃子がそのサイトを見ることは難しいのではないかと思ったのだ。

瑠璃子は肩を竦める。
「隣の理絵ちゃんに見せてもらったんだ。
理絵ちゃんはメリマユーザーなんだ。よく買い物してるんだよ」
「ああ、なるほど…」
柊司はほっとした。
隣の理絵ちゃんとは、隣室に入院している瑠璃子と仲良しの高校生だ。
自律神経系の病気で治療を受けていると瑠璃子から聞いたことがある。
柊司も何度か貌を合わせたことがあるが、のんびりとした明るい良い子のようだった。




/332ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ