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第6章 チャイナローズの躊躇い 〜告白〜

金谷の港のフェリー乗り場に、片岡は車を停めた。
木更津から僅か三十分で着くそこは、東京湾を横断するフェリーの発着場だ。
…中秋のこと…早くも夜の帳は下り始め、空はその色を薄墨から漆黒へと変え始めていた。

「…ここは…？」
澄佳は車の中から辺りを見渡した。
…薄闇の中、見慣れぬ船が浮かび上がる…。

「金谷港だ。…さあ、降りて」
片岡は助手席のドアを開け、澄佳の手を取り外にいざなう。
澄佳の姿を頭からつま先までじっくり眺め、優しく笑いかけた。
「…良く似合う。俺の見立ては確かだな」

…澄佳は自分の姿を見下ろした。