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フリマアプリの恋人
第6章 チャイナローズの躊躇い 〜告白〜
オフショルダーの真珠色のシルクタフタのセミロングドレス…ラベンダー色のパシュミナのストール…シャンパンカラーのハイヒール…。
澄佳のほっそりとした長い首には1.5カラットのピンクダイヤモンドのネックレスが輝いていた。

…片岡はマレーシア料理店を出ると、木更津のアウトレットモールに車を走らせた。
行きつけらしいフランスの老舗ブランド店に入ると、顔見知りらしい店長に何か話す。
店長は恭しく、ショーウィンドウに飾られていたドレスを持ってきた。
…それは先ほど、澄佳が思わず見惚れてしまっていたこのハイブランド店の最新作であった。
「着替えて、澄佳」
片岡の言葉に、店長が澄佳を試着室ににこやかに誘う。
「…え…でも…」
意味が分からずに戸惑う澄佳はそのまま試着室に押し込められた。

やがて着替えを終えた澄佳が、片岡の前に現れた。

…煙草に火を点けようとしていた片岡の手が不意に止まる。

…真珠色より尚、白い練絹のような肌に極上のドレスは良く映えていた。
ほっそりと美しい均整の取れた身体にフィットするそのドレスは、まるで最初から澄佳のために誂えたようであった。

「…とても良く似合うよ、澄佳」
優しく眼を細める片岡に、店長がにこにこと頷く。
「本当に…。
こちらはコレクションで一番ご好評いただいたドレスなのです。
ドレスはひとを選びます。
こんなにもお美しく着こなせる方は滅多にいらっしゃいませんわ」
「このまま着ていく。そのストールも一緒に頼む。
それから、靴も合わせてあげてくれ。
澄佳、靴のサイズはいくつ?」
…どうやら片岡はこのドレスを自分にプレゼントするつもりらしい。
察知した澄佳は慌てて声を上げる。
「ま、待って…待ってください。
こんな高価なもの、頂けません!」
片岡は煙草に火を点けた。
「店長、彼女に一番似合う靴を頼む。
これからディナーに出かけるのでね」
海千山千らしき店長はにっこりと微笑んだ。
「…シンデレラの靴よりもっと美しいお靴を見繕わせていただきますわ、片岡様。
…さあ、こちらに。お嬢様」



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