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フリマアプリの恋人
第6章 チャイナローズの躊躇い 〜告白〜
片岡がマンションを出た数日後、宮緒から電話があった。
「…私は社長に上海のホテルの支配人を命ぜられました。
来週、日本を発ちます」
上海のホテルとは、片岡が中国の出資家と共同で手掛けた新しいホテルだ。

…恐らく片岡の差し金だろう。
澄佳に関心は無くなっても澄佳が宮緒と一緒になるのは許せないのだ。
だから彼を海外へ遣るのだろう。

「…そう…」
…みんな、居なくなってしまうのだ…。
胸の中ががらんどうになる自分を感じる。
そんな心の内を見せないように、精一杯明るい声で祝福した。
「ご栄転ね。おめでとうございます。
宮緒さんならきっとご立派にお勤めになるわ」

「社長が出て行かれたと聞きました」
思わずおし黙る。
「澄佳さん。会いに伺っていいですか?
日本を発つ前に、貴女にどうしてもお話したいことがあるんです」
咄嗟に首を振る。
「だめよ。来てはいけないわ」
…もし、片岡の部下に見咎められ、それが片岡に伝わったら…。
宮緒に迷惑を掛けるわけにはいかない…。
彼は片岡の義弟なのだ。
彼の立場を失くす真似だけは出来ない。

「澄佳さん!僕は…!」
切羽詰まった声に被せるように叫ぶ。
「来てはだめ!
私たちは…もう会ってはならないのよ。
…さようなら、宮緒さん」
片岡に去られ、安易に宮緒に縋る訳にはいかない。
この密かな恋は何の曇りもなく終わらせなければならないのだ。
何ひとつ穢すことなく終わらせる…。
…それが澄佳の最後に残されたプライドだった。

「…さようなら、宮緒さん。
もう、お会いすることはないでしょう。
…けれど、どこにいても貴方のお幸せを祈っているわ…」
…さようなら…私の…

…電話を切ったあと、澄佳は初めて声を放って泣いた。








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