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フリマアプリの恋人
第7章 秋桜の秘密
「何しにきやがった、クソ野郎」
涼太の激昂した声が聞こえる。
「澄佳に会わせてくれないか」
「は?なに勝手に呼び捨てしてんだよ。
てめえ、俺と約束したよな?
澄佳は泣かせないって。
幸せにするって。
嘘つきやがってよ。
一番、澄佳が傷つくやり方で…。
許せねえ。…帰れよ」
「澄佳に会って貌を見て話したいんだ。
頼む」
柊司の密やかな…けれど毅然とした声が聞こえた。
…大好きな…大好きな柊司の声だ…。
しかし、今はその声を聴くことすら辛い。
…由貴子と柊司とのキス…。
由貴子の言葉…。
…「貴女には渡さないわ」
思い出すだけで、足元から暗い沼地に沈み込んでいくような感情に襲われる…。

「澄佳はてめえなんかに会わねえよ。
とっとと帰れっつてんだよ」
阻む涼太を押しのけているらしい柊司が、再びドアを叩く。
「…澄佳。済まなかった。
君を傷付けてしまって…。
君が見たことを言い訳する気はない。
僕は義母にずっと憧れていた。
好きだった気持ちを持ち続けていた。
だから有無を言わさずに拒めなかったのだと思う」
「て、てめえ…何言ってんだよ!
澄佳をまた傷つけるようなこと言うんじゃねえよ!」
揉み合う気配…。
「けれど、僕が愛しているひとは君だけだ。
他の誰でもない。君だけを愛している…!
それが僕の真実だ…!」
柊司の言葉がドア越しに澄佳の胸に飛び込んでくる。
真っ直ぐな言葉だ。
…信じたい…。
彼の言葉を信じたい…。

…でも…。

…「義母とは何もない」
そう言っていたのは柊司だった。
それは真実ではなかった。
嘘を吐かれたとは思わないが、真実を語ってはくれなかった。

…それに…。

由貴子のあの眼差し…。
あれは、柊司を深く濃く愛している生身の女の凄絶な眼差しだ。
…自分は…あのひとに勝てるのだろうか…。
美しく賢く臈丈て…女性としての魅力が薫りたつような艶を備えたあのひとに…。

…それに…
動けない自分の足元を見下ろす。

…自分は怖いのだ。
信じて…柊司の胸に飛び込んで…また裏切られたら…。
こんなにも愛している柊司からまた欺かれたら…。
…生きていける自信がない…。

片岡との辛い恋の記憶が、亡霊のように蘇る。

「澄佳!愛しているんだ!」
柊司の声が、片岡の恋の亡霊と重なる。

澄佳は思わずしゃがみこみ、両耳を抑えた。
「やめて…!」









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