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フリマアプリの恋人
第8章 epilogue
「瑠璃ちゃん、あと5分でバスが来るよ」
澄佳は出来上がった瑠璃子のお弁当をナプキンで包み、洗面所に声を掛ける。
「は〜い!今行きます!」
元気な返事と共に、瑠璃子が小走りでキッチンにやってくる。
紺色のセーラー服姿がとても愛らしい。
「ねえねえ、澄佳さん。今日のお弁当、何?」
子犬のように澄佳に纏わりつきながらにこにこ尋ねる。
「アジフライとズッキーニとパプリカのマリネ、あとはだし巻き卵とひじき煮よ」
「やったあ!澄佳さんのアジフライ、大好き!」
小躍りする瑠璃子のポニーテールを少し直してやりながら、微笑む。
「瑠璃ちゃん、アジ食べられるようになったもんね。
偉いね」
好き嫌いが激しく少食だった瑠璃子だが、この海の町に来て澄佳と住むようになり、めきめきと食べられるものが増えてきた。
「だってここのお魚、美味しいんだもん!
ねえ、ママが週末に来たらこのアジフライ、作ってあげて」
「いいわよ。もちろん。
…あ、瑠璃ちゃん。
このピン、して行ってくれる?新作なんだ」
ピンク珊瑚をあしらった髪留めを瑠璃子の前髪に付けてやる。
「わあ…可愛い!ありがとう!
ねえ、今度この作り方、教えて?」
瑠璃子の大きな瞳がきらきらと輝いた。
澄佳は笑って頷いた。

…不意に店のドアのカウベルが鳴った。
「おい。バスがエンストして止まってんぞ」
キャップにTシャツ、洗い晒しのデニムにワークブーツ姿の涼太が、赤銅色の男らしい貌を覗かせた。

瑠璃子が慌てて声を上げる。
「え〜⁈どうしよう。遅刻しちゃうよ!」
「学校まで送っていってやる。乗りな」
涼太がぶっきらぼうに告げながら、顎をしゃくって見せる。
「やった!涼ちゃん、ありがとう!
お礼に放課後、デートしたげるね」
涼太が瑠璃子の綺麗なおでこを指で弾く。
「ガキが何言ってんだ。
あと、涼太さんな。早く乗れ」
瑠璃子は無邪気に笑いながら、涼太の逞しい腕にしがみつく。
「ありがと、涼ちゃん!」

涼太はふんと鼻を鳴らすと、澄佳に手を挙げた。
「じゃあな」
「よろしくね、涼ちゃん。
瑠璃ちゃん、気をつけてね」
「はあい!行ってきまあす!」
明るい声で手を振ると、瑠璃子は涼太にぶら下がるようにして店を後にした。

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