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フリマアプリの恋人
第8章 epilogue
澄佳は店の入り口に立ち、涼太の軽トラックが滑らかに走り出すのを微笑みながら見送った。

海から吹く潮風は、やや冷たい。
…もう季節はすっかり秋なのだ。

…瑠璃子がこの町に来て、早三カ月が経とうとしていた。

瑠璃子の透き通るように青白かった頬は今や薔薇色に輝き、彼女は見違えるように元気で闊達な少女になっていた。

町の学校にはあっという間に馴染んでいった。
可憐な人形のように愛らしい容姿の瑠璃子は、こののどかな田舎の海の町の子どもたちの心を一瞬で捉えてしまったのだ。
加えて瑠璃子はとても屈託がなく人懐っこい性格だったので、町の学校の教師や生徒たちのことを直ぐに好きになり、彼女もまた直ぐに愛されるようになった。

今では「学校が待ち遠しい」と誰よりも早く登校し、クラブ活動の合唱の朝練習にも毎日熱心に楽しげに勤しんでいた。

…そんな娘の様子を垣間見た由貴子は、そっと涙を流し、澄佳に礼を述べた。
「ありがとう、澄佳さん。
…貴女には何とお礼を言っていいか分からないわ…」
澄佳は首を振った。
「私の力ではありません。
瑠璃子ちゃんの人柄が良いから、すぐに学校に馴染めてお友達も出来たんです。
それは、由貴子さんのお陰です…」

由貴子はその美しい瞳を潤ませて、そっと澄佳の手を握りしめた。
「…ありがとう、澄佳さん。
瑠璃子を、よろしくお願いします…」
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