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フリマアプリの恋人
第8章 epilogue
会うたびに纏わりつく瑠璃子を、涼太はうるさげに振る舞いながらも、満更でもなさそうだ。
無愛想ながらもちゃんと相手をしてやっている。

実家の魚屋に連れて行くと、涼太の両親がすっかり瑠璃子を気に入ってしまった。
特に涼太の母親はめろめろだ。

「なんて可愛いお嬢さんやろうねえ。
生きているお人形さんみたいや。
さすがは澄ちゃんの妹やねえ。大したべっぴんさんや」
「…義理のな。
血は繋がってねえからな」
涼太はふんと仏頂面をしてみせた。

「涼ちゃん!伊勢海老、跳ねた!生きてる!」
店先の生簀を覗き込んで瑠璃子が歓声を上げる。
「当たり前だ。うちは活魚が売りだぞ?
…ああ、濡れるぞ。これで拭け」
「うん!ありがと…」
無造作にタオルを投げられ、瑠璃子は嬉しそうに受け取った。

長く美しい髪を拭きながら逞しい涼太の横貌を見上げるその瞳は、明らかに恋する輝きに満ちていた。

…瑠璃子の可愛らしい芽生えたばかりの恋心を、そっと見守ってゆきたいと澄佳は思った。
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