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フリマアプリの恋人
第2章 鈴蘭のささやき
「は?…何を言っているんだ」
慌てて否定して、残りのコーヒーを飲み干す。
…イヤリングに添えられた白く美しく温かな手が脳裏に浮かぶ。
…馬鹿な…。まだ会ったこともないのに…。

「…僕は今は恋愛には興味がないんだ。
…それより、健斗。
瑠璃子の状態はどうだ?」
急いで話の矛先を変える。

「…ああ、瑠璃ちゃんね。状態は落ち着いて来たよ。
ひどく落ち込んだりすることもなくなってきた。
四月、五月とこの状態がキープできたら、一時退院を考えても良さそうだ。
…本人が望むなら…だけどね」
打って変わって医者らしく真面目に診断を述べる健斗に、ほっと胸を撫で下ろす。
「良かった…」
…瑠璃子は可愛い妹だ。
彼女が心身共に健康を取り戻すことが、今は一番大事だ。
柊司は改めて己れの心に言い聞かせたのだった。
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