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夢見の国
第3章 巫女姫
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あの夢の終わり頃に、ラーストが落としてくれたキスを思い出す。
唇に指先を持って行き、思い出すようになぞっていると視線を感じた。
ふと目線を上げて、あっと肩を上げる。
窓の外を見ていた筈のラーストが、こっちを真っ直ぐ見つめていた。
扉の隙間から覗き込んだままの自分の姿を思い出し、物凄く恥ずかしくなる。
扉を開き、ラーストの居る部屋へ入った。
「…あ、あのっ。お、おはようございます…!」
「……あぁ」
じっとこっちを見つめたままのラーストに戸惑う。
その視線は、昨夜の彼からは想像もつかない程に静かなもので、凪いだ海のようだと思った。
感情を失ったように見えても、ラーストの銀の瞳は酷く魅力的だった。
あたしはそれ以上目を合わせて居られず、さっと窓の外へと視線を走らせる。
「な、何を見てたの…?」
「……何も」
そう短く答えるラーストに戸惑いを感じるあたしが、きっとおかしいのかもしれない。
昨夜、肌を合わせたとはいえ、あれは強姦だった。
――…あたしは、ラーストにレイプされた。
(…なのに、あたしは何でこんなに平然としてられるんだろ…)
自分で自分が分からなかった。
窓辺へ駆け寄り、ラーストが見ていたものを、ラーストと同じものをあたしも見ていたいんだと、そう望むのは何故なんだろう、と。
背中に感じるラーストの視線に気づきながらも、振り返る事が出来ずに居た。
気付けば未だにぼんやりしてしまいそうなぼやけた思考に身を任せ、窓の外を眺める。
そこにあるのは、この夢を見始めた時に見た、何処までも続く美しい緑の草原。
風になびくのを見ていると、さらさらといった草と草が触れ合う音がここまで届いてしまいそうな程に広い。
あの夢の終わり頃に、ラーストが落としてくれたキスを思い出す。
唇に指先を持って行き、思い出すようになぞっていると視線を感じた。
ふと目線を上げて、あっと肩を上げる。
窓の外を見ていた筈のラーストが、こっちを真っ直ぐ見つめていた。
扉の隙間から覗き込んだままの自分の姿を思い出し、物凄く恥ずかしくなる。
扉を開き、ラーストの居る部屋へ入った。
「…あ、あのっ。お、おはようございます…!」
「……あぁ」
じっとこっちを見つめたままのラーストに戸惑う。
その視線は、昨夜の彼からは想像もつかない程に静かなもので、凪いだ海のようだと思った。
感情を失ったように見えても、ラーストの銀の瞳は酷く魅力的だった。
あたしはそれ以上目を合わせて居られず、さっと窓の外へと視線を走らせる。
「な、何を見てたの…?」
「……何も」
そう短く答えるラーストに戸惑いを感じるあたしが、きっとおかしいのかもしれない。
昨夜、肌を合わせたとはいえ、あれは強姦だった。
――…あたしは、ラーストにレイプされた。
(…なのに、あたしは何でこんなに平然としてられるんだろ…)
自分で自分が分からなかった。
窓辺へ駆け寄り、ラーストが見ていたものを、ラーストと同じものをあたしも見ていたいんだと、そう望むのは何故なんだろう、と。
背中に感じるラーストの視線に気づきながらも、振り返る事が出来ずに居た。
気付けば未だにぼんやりしてしまいそうなぼやけた思考に身を任せ、窓の外を眺める。
そこにあるのは、この夢を見始めた時に見た、何処までも続く美しい緑の草原。
風になびくのを見ていると、さらさらといった草と草が触れ合う音がここまで届いてしまいそうな程に広い。