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歳下の悪魔
第8章 切なさと思い
残りを飲み干し、また水割りを作った。
美月と行った居酒屋も含め、今日はどれくらい呑んでいるだろう。でも今日はここでなら、自分でなくなるくらい呑みたかった。それなのに、頭は醒めたまま。
裏の顔を持ったといっても、それは和真との拘束プレイだけ。
「和真は、どうして……。拘束、するように、なったの……?」
「ん……。大学時代に、付き合ってた先輩が、して欲しいって……」
拘束されると、感じる女性だったんだろう。今の私も同じでも、それは和真に植え付けられたから。
「大学生の、年齢で……。凄いね……」
私の呑むペースは落ちていたが、最初は和真と浩輝で呑んでいた。ボトルが空きそうになり、彼がキッチンから新しいボトルを二本持ってくる。
「めんどくさいから……」
正直、酔っていた方が話しやすい話題。それなのにどうしてか、酔いは回ってこなかった。
「その彼女を、喜ばせようとして、ネットなんかで勉強した。拘束の……」
理系は凝り性でもあるから、興味を持てばとことん知りたがる。その代わり興味がなければ、簡単なことも知らない。それは私も同じ。
「どうして、別れちゃったの……?」
「それは……」
珍しく、和真が言葉を濁す。
「ごめん。言いたくないよね。そんなこと……」
「ああ……」
本当に、話したくないんだろう。和真はグラスを空け、水割りを作った。
終わったことなら、何人と付き合っていようと関係ない。私だって、結婚まで考えていた相手がいた。
「優華は……。どうして、俺の言うことを、聞くの?」
何故だろう。
最初は嫌だった拘束に、魅了されていったこともある。でも和真が嫌いだったら、我慢出来なかったはず。
「私は……」
言いかけて、また誤魔化すように呑んだ。
和真は挿入について、「好きだっていう子としかしたくない」と言っていた。
それなら、私は。
自分の気持ちについて真剣に考えるなんて、初めてだった。
和真だから。
快感を覚えてしまったのが事実でも、段々と、和真を好きになっていた。
「和真は、好きだっていう子としか、したくないんでしょう?」
「ああ……」
完全に撃沈。
これからも想いを隠しながら、拘束をされるしかない。