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歳下の悪魔
第8章 切なさと思い
目を瞑って、一気にグラスを空けた。
「大丈夫?」
「平、気……」
そう言って、またウイスキーを注ぐ。和真が、氷と水を足してくれる。
それを一口だけ呑み、グラスを置いた。
「私は……。ううん。何でも、ない……」
「何? もう止めようか。こんな付き合い。今日泊まってくのは、構わないけど……」
自然と首を振る。
「拘束なら、知り合いを紹介するよ……」
挿入は、「好きだっていう子としか、したくない」という言葉が、頭の中を巡っていた。
性奴隷にしてから今まで挿入しなかったのは、私を好きじゃないという意味。
「違うっ。和真が、いい……」
「え?」
彼は、少し驚いたような表情。
「私は……。和真が……。好き……」
実らないのは分かっている。それでも、酔いのせいにして言葉にした。それほど酔っていないが、本当のこと。
さっき、浩輝とするのが嫌だった。それも、和真の存在があるから。
「うちの家系が……。代々、犯罪者でも?」
「そんなこと、関係ないよ。和真自身が、犯罪者でも……」
「酔ってるせい、だよね?」
そう言われながらも私は水割りを呑み、しっかりと首を振った。
「俺が、どうして、優華に近付いたか、知ってる?」
話が変わったのは、私の告白をうやむやにしたいからかもしれない。それでもいいと思い、ゆっくり呑みながら聞いた。
和真も思い切ったようにグラスを空け、水割りを作る。
「優華は、覚えてないよね……。面接に、行った時のこと……」
「会社の?」
「ああ。その時、優華に一目惚れした……」
私は去年の採用面接の時、美月と一緒に案内係をしていた。
受付嬢はいるが、面接前の控室に案内したり、面接後も出口を教えたり。食開二課はヒマだと思われ、女性を2人出して欲しいと上から言われたせい。
「受かって、志望通りに配属された時は、嬉しかった……。訊いたんだよ、俺。優華に。何課ですかって……」
あの時は慣れない忙しさで、何も覚えていない。
「俺の志望が同じだったから、運命とか、思っちゃって……」