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歳下の悪魔
第1章  後悔


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月曜日。早めに家を出て、途中で薬局に寄る。今日は少し暑いが、長袖のブラウスを着て出た。
 買ったのは、親指に掛け手首まであるサポーターと湿布。それをその場で着けた。
 言い訳も考えてある。昨日の帰りに転んで、両手首を痛めたと。パソコンを使う仕事だから、湿布とサポーターなら大袈裟でもない。
 パソコン以外の仕事では手袋をするから、支障はないだろう。
 会社に行くのがこんなに憂鬱だなんて、入社して初めて。台風の時など嫌だとは感じるが、行きたくないとまでは思わない。課に着けば、美月や他の仲間達もいる。
 今はその仲間に、和真が加わった。
 溜息は、課に近くなるほど多くなる。
「おはよう……」
「オッハヨー、優華。手、どうしたのー? 両方じゃん」
「ん。昨日の帰りに転んで、両手を着いたら、何か、痛くなっちゃって……」
 そう言うと、課の全員が心配してくれた。暖かい仲間だと思った時、和真が近付いて来た。
「優華先輩。大丈夫ですか?」
 心の中では、「お前のせいだ!」と叫んでいる。
 あんなことをしておいて、和真は本当に心配しているような表情。
 表の顔は天使。裏の顔は悪魔。それを知ってしまった私は、被害者なのだろうか。
 でも和真に縛られ、私はイってしまった。心のどこかで、久し振りの快感を喜んでいたのかもしれない。そうじゃなければ、イったりしない。
「痛くはないけど、少しだけ、腫れてたから。仕事は、大丈夫です」
「あんまり無理しないでね。他のみんなで、手分け出来るから」
 敦子に肩を叩かれ、頷いて見せた。
「着替えてきます」
 そう言って、ロッカールームへ行く。
 本当に悪魔だ。でも今は、天使の顔。ロッカーへバッグを入れながら思った。理由を知っているのに、心配そうな顔が出来るなんて。
 和真とは、このままでは済まないだろう。また縛られるのか、別のことがあるのか。私には分からない。
 白衣を着て、デスクに着く。
 朝はいつも通り、書類とデータの確認から。
「失礼します」
 ノックの後、ドアが開いた。一課の愛美(まなみ)が、ワゴンを押して入ってくる。
「新しいサンプルです。よろしくお願いします。データは送付済みなので」
 守が対応し、私と美月に手を振って、愛美は出て行った。


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