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歳下の悪魔
第2章 天使と悪魔

「オツカレー。今日は転ばないように、気を付けてねー」
エレベーターを降り、会社を出る。
美月と私のマンションは、逆方向。会社の前で手を振って別れると、美月は地下鉄へと降りて行く。
私は、少し歩いた路線。電車を乗り継ぎ、最後は徒歩。
和真のことがなくても、もう少し会社の近くへ引っ越したかった。結婚式の資金として貯めていたお金も、暫くは必要ない。
家の近くのコンビニに寄った。
カゴに入れたのは、たくさんの缶チューハイと弁当。
急いで家に帰り、部屋着に着替えた。
弁当を温めている間から、缶チューハイを呑む。私は普段から酒呑みじゃない。美月や他の子に誘われて少し呑むくらいで、居酒屋へ行くのも食事目的。
今日も和真が来るのを知っていて、シラフではいられない。
温まった弁当をテーブルに載せ、二本目のチューハイを呑み始めた。
酔って、何も分からなくなりたい。そんな気持ちもあったが、そこまでは1人で呑めないだろう。それに自分を失えば、何をされるか分からない。それとは裏腹に、もう何をされても諦めるしかないと言う思いもあった。
私は和真のオモチャ。そんな気持ちが強くなる。
カチリと鍵が開き、彼が入ってきた。
昨日と同じ鞄を持っている。
「あれ。呑んでるの? 俺との遊びを、余計に楽しむため?」
彼は笑いながら、テーブルに着く。
今日も、何かしらするつもりなんだろう。和真にとっては遊びでも、私には辱めでしかない。
「俺も買って来たのに。気が合うじゃん。折角だから、一緒に呑もうよ」
コンビニの袋を床に置き、和真が缶チューハイを手に取る。
私は弁当に殆ど手を付けず、早いペースで呑んで、三本目のプルタブを開けた。
明日会社を休んでもいい。朝に具合が悪いと連絡すれば、年度が始まったばかりで有休はたくさん残っている。
和真には今日機械の使い方を教えたから、きちんと出来るだろう。戦力が1人増えたことだけは嬉しい。少しずつでも、みんなの仕事も楽になっていく。会社では真面目だから、一所懸命やるだろう。
「カンパーイ」
和真が、缶を差し出してきた。仕方なく乾杯してから、また呑み始める。

