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歳下の悪魔
第2章  天使と悪魔


「優華って、入社してから、ずっとあの課にいるの?」
「そう」
 素っ気なく返事をしてしまったが、少し後悔した。
 礼儀なんかじゃない。あまり反抗的な態度を見せると、されることが酷くなるかもしれない、と思ったからだ。
 会社では、無邪気な天使のよう。でもここでは、悪魔に変わろうとしている。
「歓迎会の時、あんまり話せなかったから」
「それは……」
「別にいいんだけど。これから、いつでも話せるしね」
 笑ってから、和真はチューハイを呑み干す。
「まだ、呑みたいの?」
「別に……」
「いいよ。たくさん呑んで」
 言われて、私は缶をテーブルに置いた。
 酔った方が、言いなりになると思われているのだろう。
「もういい……」
「いいの? じゃあ、脱ごうか。昨日みたいに、座って」
 やはり目的はそれ。
 今日は何をされるのか、私には分からない。
「昨日と、同じ格好になって……」
 それを聞いて、私はまたチューハイを一気に飲み干す。
 逃げられない。
 そう分かっていた私は、服を脱ぎ始めた。
「いいね。従順で……」
 和真は笑っている。
 全裸になり、ベッドの中央に座った。
「ホントに従順だね。昨日のが、そんなに悦かった?」
 違うと言いたかったが、無言のまま俯く。
 心では、嫌だと叫んでいる。でも、和真には逆らいたくない。逃げ場のないまま、怒らせたくなかった。
 今は悪魔の彼。会社での天使の顔は、ひとかけらもない。
「動かないでね」
 和真が鞄から出したのは、昨日と同じような荒縄。手際よく、私を縛って行く。
 昨日とは違う縛り方。
 胸の所はバツ印のようで他はよく分からないが、手首を縛らないまま。
「それと……」
 また鞄から出したのは手錠。それを後ろ手にはめられた。
「これなら、手首に跡が着かないよ。その方が、いいだろう?」
 私は何度も頷く。
 一日でも早く、体の跡が消えて欲しい。今日また跡を着けられたら、消える日が伸びてしまう。
 手錠は、きつくない程度。和真なりに、気を遣ってくれたのだろうか。
 チラリと見せた天使の顔に、騙されそうになる。
 秘蕾に1本の縄が回った時、昨日とは違うと感じた。昨日の縄よりも細い。
「あっ……」
「もう、悶えてるの?」
 和真が笑う。


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