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歳下の悪魔
第1章  後悔


「えっと。瀬名和真、22歳です。慶南(けいなん)大出身です。この部署に来られて、嬉しく思ってます。これから頑張るので、よろしくお願いします!」
「じゃあ、和真くんにカンパーイ!」
 美月の声で、あちこちからグラスの音がする。私もみんなと、オレンジサワ―のグラスを合わせた。
 食べ物も揃いだし、敦子が手際よく取り分けて渡していく。私も手伝っていたが、美月は呑むのとおしゃべりに夢中。
 話は、ついメニューのことになってしまう。仕事柄、これだけは仕方ないのかもしれない。
「優華も呑もうよー。呑んで、イヤなことは忘れよう?」
「優華ちゃん、何かあったの? 仕事のこと?」
 太田が心配そうに訊いてくる。
 食開二の課長は平野でも、太田が研究チームのリーダーという感じ。
「もう、美月っ。余計なことでしょう?」
 小声で言い、美月の足を軽く蹴った。
「何でもありません。大丈夫です。職場にも、不満はありません」
 それは本当のこと。
 接客をする部署など、私は苦手。
「大丈夫じゃないじゃーん。カレシと別れて二ヶ月以上経つのにー、まだ引きずってるなんてー」
 美月は酔ってきたよう。そう言えば、色々な物をもう何杯も呑んでいる。
「歓迎会での、話題じゃ、ないでしょう?」
「まあ、呑みましょうよ。全部忘れて」
 守がフォローしてくれて助かった。
 元々守は無口。でも段々と、メンバーとはよく話すようになった。
「そう言えば、昨日敦子さんがやってた解析、塩分値高くて、驚きましたよね」
 守の言葉に、敦子と太田まで笑いながら頷いている。端に座った和真は、呑みながらも興味深げに聞いていた。
「今は塩分に煩いからな。後、糖質にも」
「そんなに塩分と糖質が気になるなら、生野菜だけ食べてればいいのよ。何もかけずに」
 敦子も口を挟む。
「確かに、そうですね」
 仕事関係の話とはいえ、メンバーにとって硬くはないから私も笑顔で頷く。
「優華先輩を振るなんて、最低な奴ですよね……。大丈夫ですよ。先輩可愛いから、すぐに彼氏が出来ますよ」
 和真が顔を近付け、笑顔で言ってきた。


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