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歳下の悪魔
第1章 後悔
そう言うと、和真が私を支える。中背の太田より、長身の和真の方が、安心感を覚えた。
「和真くん。悪いね。歓迎会なのに」
「いいえ。大丈夫です」
「和真くーん。タクシー拾えたよー」
少し遠くから、美月の声が聞こえた。
真っ直ぐに歩けない。和真に支えられながら、何とかタクシーのシートに体を預ける。
和真が、運転手に私の住所を告げていた。太田から聞いたんだろう。
その後、私はすぐに眠ってしまった。
「優華先輩。大丈夫ですか?」
いつもの感触のベッドの上。少し目を開けると、自分の部屋にいる。和真が、私を覗き込んでいた。
「ん……」
「今、お水持って来ますね」
置き去りにするようなメンバーじゃないが、店先で1人にされたら、その場で寝ていただろう。
安心して、私は目を閉じた。
◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆
部屋に光が差し込んでいる。
朝か昼か分からないが、日曜じゃないだろう。そう思いながら、異変に気付いた。
「え……?」
服を着ていない。スーツはハンガーに掛けてあったが、下着は床に投げられている。
「ええっ!?」
ベッドの頭の所にある引き出しが、一つ開いていた。元彼が使っていた、中にあるコンドームの箱も開けっ放し。横のゴミ箱には、たくさんのティッシュ。
全裸のまま、呆然とした。
和真とセックスをしたとしか、考えられない。
誰もいない部屋で、私は暫く頭の中が真っ白だった。
体を清めるように、シャワーを浴びる。
別れた彼の前にも、セックスの経験はあった。でも、行きずりや酔った勢いなんてない。恋人として付き合っていた人とだけ。
涙が出てくる。
和真とは、会ってまだ一週間。それも10歳も年下で、彼の私生活さえ知らない。
シャワーを出ると部屋着に着替え、ベッドのシーツを剥がした。そのままゴミ袋へ入れ、固く口を縛る。新しいシーツを敷き、濡れた髪のまま横になった。
涙を拭いながら、昨夜の出来事を思い出そうとする。ベッドに寝かされたことまでは、覚えていた。
でも、その先の記憶が全くない。
状況からすれば、私は和真とセックスをしたのだろう。
カシャリと鍵の開く音がして、ベッドから起き上がる。
「あっ、起きてた? コンビニで、サンドイッチ買って来たよ」
和真が笑顔で入ってきた。