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歳下の悪魔
第1章 後悔
後ろ手に鍵を掛け、勝手に上がってくる。
「なっ、何なの……」
上手く言葉が出ない。ましてやセックスしたかなんて、恥ずかしくて訊けなかった。
「はい、鍵。昨夜は、掛けて出るために借りたから」
キーホルダーの付いた部屋の鍵を差し出され、震える手で受け取る。
少し広めの1K。和真は持っていた袋をテーブルに置き、私にジュースを投げて来た。そして自分もペットボトルを開ける。
「頭痛かったりしない? ああ。優華は東北出身だよね。お酒には強いんだ」
呼び捨てにされ、私は呆然と彼を見た。
セックスをしたから、恋人のつもりなんだろうか。私にとっては、初めてのお酒での失敗。
「あの。和真くん……」
「和真でいいよ。部屋にいる時はね。職場ではちゃんと、優華先輩って呼ぶから」
これ以上、和真を部屋に入れる気はない。それに、10歳も下の後輩と付き合う気もなかった。
「和真くん。昨夜の、ことは、忘れて、欲しいの……」
「どうして? あんなに悦がってたのに? もっともっとって、凄かったよ?」
恥ずかしくて、顔が熱くなる。
今までも、そんなことを言った記憶はない。昨夜は、酔っていたせいだろうか。
「酔ってると、人間の本性が出るからね。それに、誘ったのは優華だよ」
考えていたことを見透かされたように、和真が笑う。
「大丈夫。これからは、俺の言う通りにすればいいんだから」
冗談じゃない。
最後の手段は、性的暴行で訴えるという手もある。でもそうすれば、会社のみんなにも知れ渡るだろう。テレビで扱われる可能性だって、ないとは言えない。そうなれば、会社にいづらくなる。
「俺達だけの、秘密にしてあげるよ。こんなのもあるけどね……」
和真が差し出してきた、スマホを受け取る。そこには、全裸で眠っている私の写真。
顔は髪で隠れているが、白いシーツの上に寝ていた。
「それ壊しても、無駄だよ? 家のパソコンに転送して、ディスクにも焼いてあるから」
仕方なく、スマホをそのまま返す。
「記念だよ。優華が、俺の言うことを聞くって言った」
「そんな……」
言った覚えは全くない。でも泥酔状態なら、何か言われて頷いたりした可能性はある。