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歳下の悪魔
第5章 事件と有休
「ありがとう。悪いね」
「いえ。みなさんは食べてください」
愛美が他へ行くと、守は食べながらも視線で追っている。
美月はおにぎりを食べながらも、ニヤニヤしながらそれを見ていた。
「じゃあ、頑張ってください」
愛美が帰ると、部屋の空気が元に戻る。
私も、珍しくお腹が空いていた。おにぎりを2つ食べてから、手が空いているみんなで解析を始めることにする。
和真は粉砕、守は分析。美月は消毒をしているから、残りは課長と、私と太田と敦子。
人員は充分。解析機に入れれば、守も戦力になる。
パソコンに向かうと、急に眠気を感じた。
欠伸をしながらも、元に戻したパソコンへデータを取り込む。
その間に、意識が段々薄れて行った。
◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆
「え? 私……」
顔を起こすと、体にスーツの上着が掛かっている。
もう朝のようだ。ずっと暗かった窓からは、明るい陽が差し込んでいた。
壁の時計を見ると、5時を過ぎたところ。
「ごめんなさい。寝ちゃって……」
みんなに申し訳なくて、仕方がない。多分徹夜で、データ解析をしていたのだろう。
「この上着は?」
「あっ、俺のです。この中で、一番大きいから」
近付いて来た和真に、丁寧に返す。
「ありがとう。ごめんなさい……」
「優華が、一番色々動いてくれたもんねー。みんな、順番に仮眠は取ったしー」
「でも……。本当に、申し訳ありません」
立ち上がって、みんなに頭を下げた。
「みんな。今日は有休でいいぞ。どうせ、一課はまだ調理出来ないだろう」
課長がみんなに言う。
「結果は、どうだったんですか?」
訊くと、太田に説明される。
仕入れ先を替えた野菜全てから、濃度の高いO-157が出たそうだ。一緒に保管していた食材にも直接触れたのか、結局全滅らしい。
今日は、食品倉庫の消毒になるだろう。勿体ないが、在庫は全て処分。
そうなると二課には、することがない。
「片付け、手伝うよ。美月は座ってて」
シンクを掃除していた美月に言い、代わりに掃除を始めた。