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歳下の悪魔
第5章  事件と有休


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 寝返りを打って腕を横に伸ばしても、壁に当たらない。
「ん……」
 目を開けると、自分の部屋じゃなかった。
「あ、目が覚めた?」
 その声で、すぐに昨日からの出来事を思い出す。
 物品を取りに、走ったりもした。精神的にもつらい、いつもとは違う仕事内容。それでもギスギスしないのが、二課のいいところだ。
「まだ眠い? 寝ててもいいよ?」
 ヘッドフォンで音楽を聴いていた和真が、ヘッドフォンを外した。言葉に首を振り、私は体を起こす。
 彼は私が意識のあるところまでは、私を抱きしめて眠っていた。
 どういうつもりなんだろう。
 マンションに連れて来られた時は、また辱められると思っていたのに。
 彼も、疲れていただけだろうか。
 まるでアメとムチ。縄や手錠で拘束したり、遊園地に連れて行って楽しませたり。私の様子を、面白がっているよう。
「疲れは取れた?」
「うん……」
「じゃあ、今日は優華に、やってもらおうかなあ……」
 ドキリと胸が鳴る。
 ゆっくりと休ませておいて、これから辱めを受けるのだろう。
 私はベッドに座ったまま、何も言えないでいる。嫌だと言っても、どうせ無視されるのは分かっていた。
「ねえ。バスローブ脱いで」
「お願い。せめて、普通の……。セックスを、して……」
 私の切実な願い。
 何もされないのが一番でも、それが叶わないなら、普通に抱いてくれればいい。
「セックスしたいの? 俺と? どうして?」
「え、あの……」
 上手く言葉が出て来なかった。
 和真は笑いながら、クローゼットの隅から何か出す。
「脱いで、コレ着けて」
「え……」
 渡されたのは、白いエプロン。手触りからして、シルクがかなり雑じっているだろう。
「朝食、作ってよ。もう、昼食か。そのエプロン姿で。材料は、あるもの使っていいから」
 縄で拘束されるより、普通のセックスがマシだと思ったから、恥ずかしい事を言ってしまった。
「うん……」
 バスローブの下は、勿論全裸。でも彼の前で裸になるのは慣れてしまっている。
 脱いですぐ、エプロンを着ける。
「可愛いよ。優華に似合うと、思ってたんだ」
 よく考えたら、裸エプロン。これだって、辱めと変わらない。



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