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歳下の悪魔
第5章 事件と有休
言われた通りキッチンへ行き、大きな冷蔵庫の中を見た。和真はずっと付いてきて、色々な角度から私を見ている。
思ったより、食材は豊富。1人暮らしの若い男性なのに、冷蔵庫が大きい事自体不思議だった。
以前、同棲していたのだろうか。それなら、この部屋数にも納得がいく。
顔も知らない同棲相手は、拘束が好きだったのかもしれない。それならあのやり方で、いつもセックスしていたのだろう。
「どうしたの?」
「え、あ、ううん……」
「フォアグラが、まだ残ってたんだ。でも、昼からは重いなあ。夕飯に、ソテーしてよ」
新入社員の男性の家に、フォアグラがあるなんて。
確かに奥に、真空パックされたものがある。片手に乗る大きさで、一万円以上の値札が貼られている。
「えーと……。挽肉入りオムレツと、ナスとピーマンと豚肉炒め。お味噌汁で、どうかな?」
「美味そう。ご飯は、チンのやつしか無いけど」
確かに、炊飯器が見当たらない。でも1人になった私も、コンビニ弁当か電子レンジのご飯。炊飯器は大分使っていない。
何の為に、元彼に7年間も尽くしてきたんだろう。
考えてみれば、結婚したいだけでそうしてきたのかもしれない。
同級生が結婚する度に、内心焦る。自由になった今、1人でもいいかもしれないと思い始めていた。
「優華……」
野菜の下ごしらえをしている最中、和真が後ろから抱きしめてくる。
「動きづらいから。あっちで待ってて?」
新婚生活は、こんな物だろうか。そう考え、心の中で頭を振った。
和真相手に、何を考えているんだろう。
こんな格好をさせられるのも、平気になってしまった。段々と、私の頭と体がおかしくなって行くよう。
彼がテーブルのセッティングをしている時も、私は料理を作り続けていた。