この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
第7章 十五夜(満月)

「……雅の名誉に関わることだから、会ってでないと話せないそうだ。時間を作ってくれたから、今から会って来る。東海林、車を回してくれ」

月哉は立ち上がり、医師に不在の間の事を頼んだ。

「加賀美君、雅がこんなことになってしまって申し訳ない――」

「……いえ……僕も雅の苦しみがここまでとは、気付いてあげられず……」

言葉に詰まった加賀美の肩を軽く叩くと、月哉は出ていった。



武田の病院に着き、受付に訪問のアポを取っていることを告げると、整形外科の医局長室に案内された。

「御挨拶するのは初めてですね、鴨志田さん」

武田は整った顔立ちで、どこかひょうひょうとした印象を与える男だった。

「お忙しいところお時間を取って頂いて、感謝します」

月哉は礼を言い、頭を下げる。

「雅ちゃん、意識不明のままですか?」

「はい。……失礼を承知でお聞きします。雅が服用した睡眠薬は、こちらで処方されたものでしょうか?」

月哉が言いづらそうに発した質問に、武田は気分を害した風でもなく淡々と答える。

「雅ちゃんは不眠を訴えた事はないので、睡眠薬は一度も処方していませんよ」

「……そうですか」

武田に席を勧められ、二人は腰を下ろす。

「睡眠薬は……ということは、他の薬を処方されていたのでしょうか?」

武田の言い方に引っかかった東海林が、口を挟む。

「雅ちゃんには半年前から、これを処方しています」

武田は白衣の胸ポケットから、キラキラと輝くクリスタルの細い棒を取り出した。

「それ……雅様のデスクの引き出しに入っていました。石かと思って、気に止めませんでしたが」

東海林は雅に人工呼吸をしている間、視界の端に入っていた異彩を放ったそれを覚えていた。

「これは、抗成長剤として処方していました――」

武田の骨ばった指先によりクリスタルの先端が割られ、中からさらさらと白い粉薬がリノリウムの床に落ちていく。

「……抗……成長剤?」

聞きなれない薬に、月哉が眉間に皺を寄せて問い返す。

「細胞分裂を抑え、身体が大人になることを止める事が可能です。雅ちゃんは半年前のパーティーで、私が子供しか愛せない性癖であることを偶然知り、私に近づきました……。そして、見返りを与える代わりに『大人になりたくないから薬を処方してほしい』と言ってきました」

/144ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ