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第1章 アリョーナの旅路

「アリョーナ、あんたはどうしてお見合いはイヤだと言わなかったわけなの？アリョーナは、お見合い相手の男性と結婚したくはなかったのでしょ…どうしてイヤだと言えなかったのよ？」
「イヤだと言ったら、家から追い出されていたわよ…お見合い相手の家はね…一番上の兄が勝手に持ち出した預り金を弁済するためのお金を出してくださったのよ…お見合い相手の父親はね…アタシの父がかつて旧ソビエト軍にいたときに、一緒にアフガニスタンの戦場で一緒に戦った戦友同士なのよ…お見合い相手のお父さまは…最前線で戦闘中に大ケガを負ってしまったの…その時に、父が軍医であったの…お見合い相手のお父さまは、父に命を助けていただいたのよ…」
「アフガニスタンの戦場で一緒に戦った戦友同士で、アリョーナのお父さまに命を助けていただいた恩があったのね…それで断ることができなかったのね。」
「アタシは、何のために結婚をしたのか…よく分からないの…よく考えてみたら…アタシは良縁に恵まれていなかったのよ…考えてみただけでも、頭が痛くなってしまうのよ…めまいがしてしまうのよ…」
「今のアリョーナには、結婚は考えられないと言うわけなのよね…アリョーナがあの時付き合っていたカレは…」
「タメルランのことは出さないでよ!!」

アタシは、エレンの口からタメルランのことが話されましたので、タメルランのことは話さないでと声を荒げてしまいました。

「タメルランのことは出さないでよ!!アタシは、タメルランのことはもうとっくに忘れてしまったのよ!!」
「アリョーナ。」
「タメルランとアタシが最後に会ったのは、４ヶ月前だったわ…パリで再会をしたけれど…会えば肌を重ねてさみしさとむなしさを埋めるために…なぐさめあうだけだったのよ…結局は…愛とか恋とかじゃなかったのよ…結局は…」
「さみしさとむなしさを埋めるために…体だけの関係が続いていたと言うことなのよね。」
「そう言うこと…と言うよりも、アタシとタメルランは最初から会ってはいけないふたりだったのよ…」

アタシは、エレンに思いの丈（たけ）を全て打ち明けました。

それからアタシは、女ひとりで生きて行くことを選びました。

アタシは、タメルランのことを忘れようと決意しまして、次の日からはバイトに集中して行こうと自分に言い聞かせていました。