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アリョーナの旅路
第1章 アリョーナの旅路
そして、その日の夕方のことでありました。

アタシとヒーラーさんは、コロンビ公園に行きましてベンチに座りましてお話をしていました。

アタシは、ヒーラーさんのご両親が固い表情になっていたのをみたので『アタシはよそもんだから歓迎されていないみたい…』とつらそうな声でヒーラーさんに言いました。

「アタシ…ヒーラーさんのご両親からあんまり歓迎されていないのかもしれないわ…ヒーラーさんのご両親は、アタシを見るなり気難しい表情をしていたから…アタシのことがキライだって言うていたわ。」
「アリョーナは、どうしてそのように思うのかな?」
「どうしてって…ヒーラーさんのご両親はアタシのことは気に入らないと言う表情していたわよ…あの様子だと『(旧)東側の女はいりません!!』と言うことなのよ…」
「そんなことはないよ…おふくろとおやじは初対面だったから、アリョーナを見てどうやってあいさつをすればよいのか分からなかっただけだよ。」
「ほんとうかしらねぇ…」
「ほんとうだよ…おふくろとおやじは気難しい顔をしているけれど、本当はいい人なんだよ…戦時中(第二次世界大戦後)の痛手を受けたあと、ワイナリーを復興させるために必死になって働いてきた…仕事ひとすじで通して、夫婦でワインのおろし問屋さんを大きくさせて行くことで精一杯になって生きてきたから苦労人なんだよ。」
「それはわかっているわよ…だけど、あなたがアタシをご両親に紹介した時に、どうして気難しい表情になっていたから、アタシはやっぱり歓迎されていないのよぉ…」
「そんなことはないよ…両親はとまどっていただけなのだよ。」
「どうしてそのようなことが言えるのよ?コンキョはあるのかしら?」
「あるよ…兄貴の結婚の時だってそうだった…」
「お兄さまの結婚の時もそうだったの?」
「そうだよ…兄貴の嫁さんはベルギーの生まれなのだよ…兄貴の嫁さんも、少しずつ少しずつおふくろとおやじに気に入られて行ったのだよ…大丈夫だよ…最初のうちはいろいろあるけど、時が来ればおふくろとオヤジの気持ちも変わるよ…おふくろとおやじに気に入ってもらえるよ。」

ヒーラーさんはアタシに、兄嫁さんの時の話をしましたが、アタシはますますふてくされた表情でヒーラーさんに言いました。

「めんどうくさいわ…アタシやっぱり、サンクトペテルブルグへ帰る…」
「アリョーナ。」
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